研究課題/領域番号 |
21K08371
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 恒 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20705214)
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研究分担者 |
柏木 浩和 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10432535)
中田 継一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80849844)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血小板 / インテグリン / GPIIb-IIIa / inside-outシグナル |
研究実績の概要 |
本研究課題は血小板フィブリノゲン受容体インテグリンαIIbβ3活性化機構の解明し、止血異常を有する症例解析より樹立したαIIbβ3活性化キネティクスという概念に基づく新規血栓症コントロール治療、および出血性疾患における止血治療開発を目指すものである。この目標実現のため、令和4年度は引き続き活性化血小板において質量分析を用いて実施した蛋白リン酸化ショットガンプロテオミクスの結果解析を進めた。ここからαIIbβ3活性化調節に重要と思われる候補分子の抽出とその評価を293細胞、巨核球系細胞株CMKを用いて継続してる。さらに候補分子についてキナーゼ解析により関連するシグナル経路についての検討を進めている。またiPS細胞由来巨核球系細胞株の使用も開始し、重要と考えられる候補分子の詳細について、生体内に近い実験条件下での評価を行うための準備を整えることができている。 血小板機能異常症の症例解析も継続して実施し、重篤な止血異常を持つ症例よりインテグリンαIIbの新規遺伝子変異を同定。現在その生理的意義の詳細を巨核球系細胞株CMKを用いて実施している。さらにADP受容体異常症、コラーゲン受容体GPVI欠損症を新たに同定し、生理的条件下での機能評価のため流動条件下における血栓形成評価を中心に検討を行い、血小板機能をコントロールするための作用機序解明の試みを継続して行っている。プロテオミクスによる解析とあわせ、αIIbβ3活性化機構解明の試みを継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は血小板機能異常症の解析より見出した血小板フィブリノゲン受容体インテグリンαIIbβ3の活性化キネティクスを制御する機構を明らかにすることを目的に行っている。網羅的解析の実施が容易ではない血小板で、症例血小板を使用したリン酸化ショットガンプロテオミクスの実施により、重要と思われる候補分子の同定を進めている。また、この間も新規血小板機能異常症の解析を行い、新規血小板無力症遺伝子変異の同定を行い、学会での成果報告も実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
質量分析によるリン酸化ショットガンプロテオミクスで得られた情報を用いて、αIIbβ3活性化キネティクス制御機構に重要な分子の同定作業を継続し、使用準備が整いつつあるiPS細胞由来巨核球細胞株、および同細胞分化により作成した血小板で重要分子の機能の詳細を検討していく予定である。
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