研究課題
本研究では、ヒト急性GVHD組織に浸潤するT細胞について解析を行った。移植後に急性GVHDを発症しかつ一次治療に不応性となった患者から、GVHD一次治療前後のGVHD皮膚生検組織の提供を受けた。それら生検組織に浸潤するT細胞のTCR-Vβ CDR3塩基配列をNGSにより網羅的に解析したところ、いずれの症例においても一次治療の前後で構成する各TRBV familyの比率は大きく変化していた。また、GVHD一次治療前に高頻度だった皮膚組織浸潤T細胞クローンの多くは治療後に低頻度となり、代わって一次治療前には認めなかった新たなT細胞クローンが増幅し高頻度となっていた。ある患者の急性GVHD皮膚生検組織から5つのT細胞クローンの分離に成功し、STR法を用いてそれぞれの細胞起源を解析した。するとその内4つのT細胞クローンはドナー由来だったが、GVHD皮膚浸潤T細胞全体の23%を占めたある1つの高頻度T細胞クローンはレシピエント由来だった。以上より、急性GVHDの発症にレシピエントのT細胞も関与している可能性、そして急性GVHD一次治療開始時に組織に浸潤していたT細胞クローンとは異なる新たなT細胞クローンが組織に浸潤することでそのGVHDは治療不応性となる可能性が示唆された。さらに、生検組織から単球、マクロファージなどT細胞以外の免疫細胞の分離を行ったが、得られた各免疫細胞の数的な制約から、それら細胞の性質の詳細な解析には至らなかった。そこで現在、急性GVHD皮膚生検の病理組織標本を用いたトランスクリプトーム解析を計画している。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Transplantation and Cellular Therapy
巻: 30 ページ: 326.e1~326.e14
10.1016/j.jtct.2024.01.056
International Journal of Hematology
巻: 117 ページ: 889~899
10.1007/s12185-023-03563-5
Journal of Cancer Survivorship
巻: 17 ページ: 781~794
10.1007/s11764-022-01250-8
巻: 118 ページ: 462~471
10.1007/s12185-023-03648-1
Molecular Cancer Therapeutics
巻: 23 ページ: 381~393
10.1158/1535-7163.MCT-23-0408