マウス同種造血細胞移植・リンパ球輸注療法モデルは、細胞移植・輸注直後から起こる免疫病態が臨床像に類似し、薬剤による病態修飾が可能であることから、移植片対宿主病(GVHD)をはじめとするヒト造血細胞移植後・リンパ球輸注療法後の免疫病態解明と制御モデルの開発に有用である。本研究では、適宜コンジェニックマウスを骨髄(造血幹細胞)および成熟T細胞グラフトのソース(細胞源)として用い、レシピエント体内でのドナー細胞の分布や活性化状態、サイトカイン産生、それらに対する免疫修飾薬の影響の解明を目標に掲げている。 本研究では①MHC一致マウス同種骨髄移植モデル(BALB/c→CD2F1)における急性GVHDとドナー細胞の体内動態、②同種骨髄移植モデル(BALB/c→CD2F1)における 抗IL-6R抗体、ステロイド薬の急性GVHDおよびドナー細胞の体内動態、サイトカイン等の免疫パラメーターへの影響、③BALB/c[非移植・担癌(BALB/c由来線維肉腫CMS5a)]・腫瘍特異的リンパ球(BALB/cバックグラウンドDUC18T細胞)輸注療法モデルにおける抗IL-6R抗体、ステロイド剤の腫瘍増殖および輸注リンパ球の体内動態、免疫パラメーターへの影響、④[同種移植(BALB/c→CD2F1)後・担癌(CMS5a)]・腫瘍特異的(DUC18)T細胞輸注療法モデルにおける抗IL-6R抗体、ステロイド薬の腫瘍増殖、GVHD(増悪)および輸注リンパ球の体内動態、免疫パラメーターへの影響を検討した。 しかしながら、腫瘍特異的T細胞輸注モデルで用いるDUC18マウスの繁殖が不良であったため、本研究で十分な結果を得るのにさらなる時間を要する状況である。
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