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2021 年度 実施状況報告書

胚細胞変異を有する骨髄系腫瘍の前がん病変がクローン選択を受ける分子病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K08394
研究機関京都大学

研究代表者

昆 彩奈  京都大学, 医学研究科, 助教 (20772403)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード骨髄異形成症候群 / 急性骨髄性白血病 / 胚細胞変異
研究実績の概要

骨髄異形成症候群(MDS)は血球産生および分化の異常による血球減少と、急性骨髄性白血病(AML)への移行を特徴とする腫瘍性疾患である。近年、晩発性の家族性MDS/AML患者検体の遺伝子解析を通じて、DDX41の機能喪失型の胚細胞変異が同定されたのに加えて、約半数の症例では、胚細胞変異を有するアレルの対側アレルに、セカンドヒットの体細胞変異(典型的にはp.R525H変異)が認められることが明らかになった。本研究では、DDX41胚細胞/体細胞変異を有する造血幹細胞がクローン選択をうける分子病態について明らかにすることを目的としている。
本年度は、我々が作成したDdx41変異に関するマウスモデルを用いて、Ddx41ヘテロKOマウスの造血幹細胞では、自然免疫経路の軽度の発現亢進がみられる一方で、Ddx41 R525H/nullマウスの造血幹細胞では、自然免疫伝達経路が強く活性化して骨髄不全を来すことを明らかにした。変異マウスから採取した骨髄細胞と、コンペティター細胞(野生型またはDdx41 null/wt マウス由来の骨髄細胞)とを様々な比率でまぜてレシピエントマウスに移植することにより、Ddx41変異を持つ細胞がクローン選択をうけるかどうかを観察した。その結果、コンペティターがDdx41 null/wtマウス由来の場合に、移植後に造血不全の表現型が見られることを確認した。このマウスから採取した骨髄細胞を対象としたRNAシーケンスにより、その背景にある分子病態について解析を進めた。引き続き、変異マウスモデルを用いた実験系により、クローン選択の変遷の解析や、分子病態の解明を進める方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Ddx41変異に関するマウスモデルを用いて、Ddx41変異マウスでは自然免疫経路の発現亢進がみられることを明らかにし、さらに、競合移植実験系を用いて、Ddx41変異前がん細胞クローン選択を受けるメカニズムの解析を進めている。このように、本研究は予定通りに順調に進展している。

今後の研究の推進方策

本年度に引き続き、Ddx41変異に関するマウスモデルを用いた実験系を使用して、DDX41胚細胞変異・体細胞変異を有する細胞がクローン選択を受けるメカニズムの解明を進める方針である。とくに、DDX41変異細胞による細胞非自律的な影響や、造血幹細胞ニッチとの相互作用について検証できるモデルマウスを構築し、発症過程における個々の細胞同士の相互作用を理解することを目指す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] The molecular pathogenesis of DDX41-mutated myeloid neoplasms2021

    • 著者名/発表者名
      Ayana Kon, Masahiro M Nakagawa, Keisuke Kataoka, Ryosaku Inagaki, Hideki Makishima, Manabu Nakayama, Haruhiko Koseki, Yasuhito Nannya, Seishi Ogawa
    • 学会等名
      第83回日本血液学会学術集会
  • [学会発表] The molecular pathogenesis of DDX41-mutated myeloid neoplasms2021

    • 著者名/発表者名
      Ayana Kon, Masahiro M Nakagawa, Keisuke Kataoka, Ryosaku Inagaki, Hideki Makishima, Manabu Nakayama, Haruhiko Koseki, Yasuhito Nannya, Seishi Ogawa
    • 学会等名
      第80回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] Functional roles of DDX41 mutations in the development of myeloid malignancies2021

    • 著者名/発表者名
      Ayana Kon, Masahiro M Nakagawa, Keisuke Kataoka, Ryosaku Inagaki, Hideki Makishima, Manabu Nakayama, Haruhiko Koseki, Yasuhito Nannya, Seishi Ogawa
    • 学会等名
      63rd ASH Annual Meeting and Exposition
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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