研究課題
基盤研究(C)
SAMD9とその相同遺伝子SAMD9Lは、7q欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)の責任遺伝子のひとつだが、その機能亢進型の点変異は、先天性骨髄不全症を伴う先天性疾患であるSAMD9/9L症候群の原因となる。SAMD9/9L症候群のモデルマウスとして樹立した、Samd9L変異導入マウスの造血機能を検証した結果、Pro-B細胞以降のB細胞の分化障害によるリンパ球の著減と、造血幹細胞を含む未分化な造血細胞で細胞周期の亢進が認められた。加えて、造血幹細胞におけるTGFβシグナル異常が判明した。
血液内科学
SAMD9/9L症候群は2016年頃より提唱された新しい疾患概念で、現在は先天性骨髄不全症のカテゴリーの中でファンコニー貧血と並ぶ代表的疾患となったが、疾患原因となるSamd9/9L変異体の生化学的機能は未だ不明な状況にある。今回得られた結果は、症候群の発症メカニズム解明に向けた第一歩であり、加えて、SAMD9/9Lの機能亢進と機能低下による病態解析を通じて、造血幹細胞を中心とする造血系におけるTGFβの機能に対する新たな知見となった。