B細胞性腫瘍である悪性リンパ腫や多発性骨髄腫の発症や病勢増悪に関与しているウイルスの存在を解明し、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫の発症や病勢増悪に関与している遺伝子変異や染色体異常とウイルス感染の意義について明らかにするため、病院倫理委員会で承認された研究計画書を基にして、2021年度から2023年度で、悪性リンパ腫患者9例と多発性骨髄腫患者20例より同意説明文書を用いた説明による文書同意を得た。これらの症例のリンパ節検体や骨髄検体から、腫瘍細胞をMACSにより分離し、それぞれの細胞からDNA、RNAを抽出した。悪性リンパ腫6例と多発性骨髄腫16例の腫瘍細胞から抽出したRNAがRNA品質検定により次世代シークエンサー解析に適した検体として選別された。2023年度は、症例を重ねて次世代シークエンサーによるViromeの網羅解析を行い、バクテリオファージ15種類、ウイルス16種類が同定された。 本研究により悪性リンパ腫や多発性骨髄腫の発症や増悪進行に関与の可能性のあるウイルスの同定法として次世帯シークエンサーによるVirome解析はスクリーニング検査として有用であると考えられるが、同定されたウイルス群の発症や病勢増悪への関与をさらに追求する必要がある。また、今後、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫のみならず、他の造血器腫瘍や生活習慣病のような他領域の疾患への応用が十分に考えられる。
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