研究課題/領域番号 |
21K08418
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
沼田 晃彦 九州大学, 大学病院, 助教 (60423563)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | MYC / TIP60 / 急性骨髄性白血病 / 悪性リンパ腫 |
研究実績の概要 |
研究方法 a) Mycを高発現しているヒト急性骨髄性白血病細胞株を抽出し、c-Myc抗体、メチル化、アセチル化ヒストン抗体を用いたChIPシーケンスを行った。これは、c-Mycが転写因子として、白血病細胞での果たす役割を予測するに重要な実験である。クロマチン沈降に適するc-Myc抗体の評価に時間を要したが、マウス造血幹細胞で得られた結果同様、白血病でも遺伝子発現転写調節領域では、エンハンサー領域、プロモーター領域共に、c-Mycの結合が明らかとなった。現在は、コアアクチベーターTIP60の抗体を用いたクロマチンチン沈降の評価を行なっている。TIP60抗体は複数の抗体のカクテルを用いており、ロット間の違いなどにより、その都度至適な条件を決定するのに時間を要している。 b) 時間を要する白血病、リンパ腫マウスモデルの構築は、Tip60flox/floxマウスとRosa26-CreERT2マウスと交配させ、Tip60flox/flox; Rosa26-CreERT2マウスを構築し、TIP60の遺伝子ノックアウトが血液細胞で誘導できることを確認できた。現在、Tip60flox/flox; Rosa26-CreERT2マウスから造血前駆細胞をFACSソートし、白血病融合遺伝子MLL-AF6, MLL-AF9プラスミドをレトロウィルスを用いて感染をおこなっており、十分な感染効率を確認できつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経験のある実験手法を用いているため、対象サンプルは新たなものを用いてはいるが、計画通りの実験遂行、データの集積が行えている。マウスモデルの構築に関しては、交配に時間を要したが、必要とするTip60flox/flox; Rosa26-CreERT2マウスの構築、また、そのマウスの造血幹前駆細胞でのTIP60欠損の十分な誘導を、vivoとvitroで確認できたため、今後の実験の基礎となるマウス・コロニーの構築に全力を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに推進していく。a) TIP60の白血病細胞株でのゲノム上での結合領域を明らかにする。バイオインフォマティクス解析を次年度はおこなっていく。また、患者からの、白血病細胞と悪性リンパ腫細胞でMyc高発現のサンプルの収集を行なっていく。 b) レトロウィルス感染による MLL-AF6、MLL-AF9の急性骨髄性白血病モデルを、Tip60flox/flox; Rosa26-CreERT2マウス造血前駆細胞を用いて構築する。これには時間は要さないが、TIP60欠損を行い、白血病への効果を見るのに適切な移植細胞数や、TIP60欠損の誘導のタイミングなどを、決定するの時間を要することが予想される。
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