研究実績の概要 |
急性骨髄性白血病や、悪性リンパ腫では、腫瘍細胞での転写因子であるMYCの発現レベルが予後と相関する。近年、造血幹細胞でMYCの主要なコアクチベーターとして、リジンアセチル化酵素 TIP60 が 同定された。そこで、MYCを高発現する造血器腫瘍において、TIP60が治療標的となりうるかを検証する。まず、MYCとTIP60のゲノム上の位置関係や標的遺伝子を、次世代シーケンスを用いて同定し、TIP60を標的とすること意義を証明する基礎的データを集積する。次に、悪性リンパ腫、急性骨髄性白血病モデルマウスを用い、TIP60遺伝子ノックアウトやTIP60阻害剤の臨床効果を検討する。本研究では、造血幹細胞でMYCのコアクチベーターとして同定されたエピジェネティック因子、リジンアセチル化酵素 TIP60(TAT-interacting protein 60kD) が、悪性リンパ腫や急性骨髄性白血病での治療標的となるかを検証し、造血器悪性腫瘍に対する新規の治療法の開発のための基盤データの構築を目的とする。 本研究では、ヒト急性骨髄性白血病細胞株、患者由来のMYCを高発現している悪性リンパ腫や白血病細胞での、Myc標的遺伝子のゲノム上での局在を、クロマチン構造と共に解析を行い基礎的データを得た。 (c-Myc,TIP60, H3K4me1、H3K27ac、acH2A.Z抗体を用いた、クロマチン免疫沈降 + 次世代シーケンス [ChIP-seq])。MYC、TIP60の全ゲノム上での位置、それぞれどのような遺伝子をプロモーターまたエンハンサーを介して制御しているのかについての検討を行った。
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