研究課題
MLL-AF9を発達時期依存的に誘導する為に、Rosa-LSL-MLL-AF9-IRES-GFPノックインマウスを作製した。eR1-CreERT2マウスと交配し、造血幹前駆細胞特異的にタモキシフェンによって、MLL-AF9を誘導可能なマウスモデル(MLL-AF9-KI)を作製した。胎児期、小児期、成人期、老年期にMLL-AF9を誘導発現し、生存曲線、末梢血の状態、白血病細胞の増殖などを全血球算定機、フローサイトメトリーを用いて解析を行った。既にMLL-AF9を小児期、成人期に誘導した実験はすでに結果を得ている。MLL-AF9を小児期、成人期両方の場合において、マウスはAMLを発症した。しかし、発症速度に大きな違いがあり、成人期に誘導した場合に比較して小児期では早く白血病が発症しており、有意な差がみられた。発症前に2か月の時点で、最終的に異常増殖を行う顆粒球細胞の割合をフローサイトメトリーで比較すると、成人期に比較して小児期で末梢血中の顆粒球の割合が高いことが分かった。胎児期および老年期のマウスについても準備及び白血病の発症への影響の解析を行っていく。また、造血幹前駆細胞のトランスクリプトーム・エピゲノム解析について現在サンプルを準備中である。造血幹細胞ストレスによる白血病発症への寄与を検証するため、上記のMLL-AF9-KIマウスに加え、コントロール用のRosa-LSL-YFP-KIマウスおよび小児のMLL融合がん遺伝子による白血病で二次変異として知られているNRasの活性化変異を導入したMLL-AF9-KI;NRasG12Dを準備した。これらのマウスの骨髄を移植したマウスと2回連続移植を行ってから移植したマウスとで白血病の発症速度を比較した。その結果、初回移植のマウスに比較して連続移植したマウスではAMLの発症速度が遅れた。今後この結果の再現性を取得していく。
2: おおむね順調に進展している
マウスモデルは想定通りの結果を出していて、実際の病気の状態を反映していることが期待される。順調にサンプル作りの準備を進めている。
今後は、エピゲノムの解析結果を得ることを中心に研究を進めていく。現在サンプルを準備しており、来年度までには解析結果を得ることが期待できる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
International Journal of Hematology
巻: 115 ページ: 553-562
10.1007/s12185-021-03274-9.