研究課題/領域番号 |
21K08422
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小川 一英 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (40423800)
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研究分担者 |
大河原 浩 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10381360)
深津 真彦 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30827829)
池添 隆之 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80294833)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生着不全 |
研究実績の概要 |
同種造血幹細胞移植 (HSCT)は抗癌剤抵抗性の造血器悪性腫瘍の唯一の根治治療である。HSCT患者の生命予後を左右する合併症に生着不全(graft failure, GF)がある。GFのリスク因子はHLA適合度、ドナー低CD34+細胞数、骨髄非破壊的前処置、再生不良性貧血等の非腫瘍性疾患、脾腫、骨髄線維症の有無、ウイルス感染等が挙げられる。GFの発生機序の詳細は未だ明らかではない。TAM familyであるMerはプロテインCの補因子であるgrowth arrest-specific gene 6 (Gas6) をリガントとする受容体型チロシンキナーゼであり、Gas6-Merシグナルは造血器腫瘍や炎症性疾患、血栓性疾患の病態に関与する。本研究はGFの発症機序おけるGas6-Merシグナルの役割を明らかにし、GFの予測マーカーに血漿Gas6及び可溶性Merが有用であることを検証する。併せて、抗腫瘍効果とGFの予防効果を併せ持つと予想される選択的Mer阻害剤の移植前処置薬としての可能性を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はHSCT後のGF症例で血漿Gas6及び可溶性Mer濃度が有意に増加する興味深い結果を得ている。また、選択的Mer阻害剤及びc-MET阻害剤(Gas6阻害剤)がLPSで 誘導された急性肺障害を著明に抑制する成果を発表している。同種移植で誘導される著明な炎症によって起こりうる生着不全を抑える可能性があり、選択的Mer 阻害剤及びc-MET阻害剤の生着不全に対する効果が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は同種移植マウスを使用し、移植後の骨髄の炎症性サイトカイン増加、活性酸素増加の検討、骨髄内皮細胞低下、血球貪食亢進の状態を観察し、選択的Mer 阻害剤及びc-MET阻害剤がそれらの反応に対する効果を検討することによって、生着不全を抑制するか否かを検討する。
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