研究課題/領域番号 |
21K08424
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
楊 インジェ 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (90808643)
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研究分担者 |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (50186798)
今井 美沙 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (50709003)
荒木 真理人 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (80613843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨髄増殖性腫瘍 / triple-negative / 造血幹細胞 / トロンボポエチン受容体 |
研究実績の概要 |
フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(MPN)は、加齢により造血幹・前駆細胞に体細胞変異が生じ、血球の異常増加や骨髄の線維化を呈する造血器腫瘍である。MPN患者の大部分で、MPN発症を引き起こすドライバー遺伝子変異が見出されるが、変異が検出されないtriple-negative(TN)症例が存在する。TN症例ではドライバー遺伝子変異が見出されず、診断に難渋するため、TN-MPN症例の診断に有効な新たなマーカーの同定と、発症メカニズムの解明が求められている。これまでに研究代表者らは、大部分のTN-MPN症例では体細胞変異が見いだされないこと、TN-MPN患者の造血幹細胞が自律的に巨核球に分化すること、培養細胞において遺伝子変異を伴わずとも、巨核球造血を促すMPLシグナル伝達経路の自律的な活性化が生じることを明らかにしている。本年度は、MPLの自律性活性化に必須な遺伝子候補を同定することを目的に、CRISPR-Cas9ライブラリーによるゲノムワイドな遺伝子ノックアウトスクリーニングを行った。Ba/F3-MPL-FR細胞に全遺伝子をノックアウトできるよう設計されたガイドRNAを組み込んだライブラリーを導入し、IL-3添加、または未添加の培地で培養し、MAGeCKパッケージを用いた解析により、IL-3未添加でMPL自律性活性化を起こさなかった細胞に導入されたガイドRNAに対応する遺伝子を同定した。その結果、特定のpathwayに関連する遺伝子を複数同定した。この中には、以前行ったRNA-seq解析によって同定した候補遺伝子も含まれていた。本研究により、MPLの自律性活性化に特定のpathwayが関与する可能性が初めて示された。本研究の更なる推進により、TN-MPN症例の診断に有効なマーカーの同定が期待される。
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