研究課題/領域番号 |
21K08427
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
高見 昭良 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80324078)
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研究分担者 |
花村 一朗 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70440740)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 白血病 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
第一に、ADAMTS13遺伝子多型ゲノム編集血管内皮細胞の作成に用いるCRISPR-Cas9システムを用いて、ヒト骨髄性白血病細胞株K562に単アレルのInternal tandem duplication (ITD) of FMS-like tyrosine kinase 3 (FLT3)を導入し、K562-FLT3細胞株を樹立した。ワイルドタイプに比べ、K562-FLT3細胞でCD52発現上昇がみられることをmRNAとタンパクレベルで確認した。さらに、FLT3導入後STAT5を介してCD52発現亢進がもたらされるとわかった。抗CD52抗体アレムツズマブが、K562-FLT3(ITD / WT)細胞特異的に抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘発することをマウスモデルで示した。以上から、CRISPR-Cas9システムを用いたゲノム編集技術により、白血病に対する新規治療標的が同定されえることがわかった。 第二に、私たちがこれまで同定した造血幹細胞移植関連免疫遺伝子多型の1つであるNLR family pyrin domain-containing 3 (NLRP3)多型の機能解析を行った。NLRP3 rs10754558遺伝子型多型(G>C)において、レシピエントまたはドナーのG/G型は、移植関連死亡が不良で生存率が悪いことがわかっている。健常人のリンパ球を用いてNLRP3 rs10754558の機能的役割を解析したところ、G/G型はそれ以外に比べNLRP3を高発現し、IL-1b産生能も高いとわかった。以上から、NLRP3 rs10754558が機能的役割を有し、炎症性障害の病因や調節にかかわることがわかった。 これらの結果は新規治療標的の開発に寄与すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゲノム編集技術を用いた新規白血病治療標的開発や、造血幹細胞移植関連免疫調整遺伝子多型の機能解析など、全体研究としては着実に成果を上げているものの、ADAMTS13遺伝子多型ゲノム編集血管内皮細胞の作製には至っていない。全体にやや遅れていることは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
ADAMTS13遺伝子多型改変ヒト血管内皮細胞クローンの樹立に注力する。実験系は確立し、必要な消耗品や物品の準備も済んでいる。研究補助を雇用するなどして、研究を迅速に進める予定である。ADAMTS13遺伝子多型改変ヒト血管内皮細胞クローンが樹立できた時点で、網羅的解析や機能解析に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析検体数が予想より少なかったため。解析検体数、予算ともに次年度に持ち越しとした。
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