インテグリンα4は白血病細胞と正常血球細胞の両方に発現していると考えられている細胞表面分子であるが、細胞の状態によりその高次構造を変化させることが知られている。我々はこれまでの白血病細胞に対する研究において多数のモノクローナル抗体クローンを作製しており、その中からインテグリンα4の立体構造が活性化状態のときに、より強い結合能をもつ抗体(抗体X)を見出した。 抗体Xが複数の白血病細胞株においてインテグリンα4が活性化状態にあるときにより強い結合能を示すことを明らかにした。 白血病患者由来の白血病細胞に対して同様にインテグリンα4の活性化状態と抗体Xの結合能の強さについての解析を行い、患者により結合能の違いがあることが判明した。 患者由来白血病細胞と白血病細胞株に対する特異性を調べるためのスクリーニングを進めるなかで、市販抗体に対しては全く結合能を示さず、抗体Xに対してのみ結合能を示す細胞株(細胞株Y)を発見した。他の白血病検体や細胞株では結合能の程度の違いを認めることがあるが、この細胞株のように大きな差を示すものは見つかっていない。細胞株Yのインテグリンα4の構造を明らかにすることにより抗体Xの特性を理解することにつながると考えている。今後も細胞株Yのインテグリンα4の構造解析をすすめ抗体Xの特性を明らかにすることにより、抗体Xによる抗体療法、及び抗体Xを応用したCAR-T療法などの白血病治療法の開発につなげたい。
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