研究課題/領域番号 |
21K08431
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
小林 央 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (10749542)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 / 胎生期 / 成熟 / 静止期維持培養 |
研究実績の概要 |
胎生期造血幹細胞と成体型造血幹細胞との培養条件上の相違を様々に検討した結果、胎生15日の造血幹細胞は、成体造血幹細胞を静止期に維持する低酸素、低サイトカイン、高脂質条件では造血幹細胞数を維持することができなかった。また、4%BSAに脂肪酸、コレステロールを加える条件では細胞増殖の停止を10日程度で引き起こし、枯渇(stem cell exhaustion)が成体造血幹細胞よりも誘導されやすいことが明らかとなった。同様に、IL-4、G-CSFやIL-1βといった付加的なサイトカインは胎生期造血幹細胞の表面マーカー上の自己複製を促すものの、遺伝子発現上は、p21やNoxaといった遺伝子発現の亢進を伴い、速やかに増殖能を失う。以上より、高い(かつ高すぎない)サイトカイン濃度、より高い酸素濃度、より低い脂質濃度が胎生期の造血幹細胞の培養に必要な条件であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サイトカインを含めてあらゆる培養条件を検討した上で、胎生期造血幹細胞の維持に必要な条件および必要出ない条件を見出すことができたことから、現在の培養条件を用いて、体外における生体内の成熟過程の模倣を実施する準備ができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で最適化された体外での胎生期造血幹細胞の培養を行い、成体型への遺伝子変化(Hmga2やIgf2bpの発現低下など)がどのような外的・内的因子によって制御されているのかをゲノム編集技術や各種阻害剤を用いることで調べる。また、胎生期造血幹細胞の「分化・枯渇しやすさ」の原因についてもゲノム編集や阻害剤処理によって検討する。
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