研究課題
IgG4関連疾患(IgG4-RD)の病態には不明な点が多い。罹患組織の血球細胞におけるRNAシークエンス解析(RNAseq)により、特徴的な細胞群が同定されているが、非血球細胞の役割は未知であった。そこで本研究では、IgG4-RD患者ならびにコントロール症例の顎下腺生検検体の非血球細胞の単細胞RNAseq解析(scRNAseq)を実施し、その結果を免疫染色解析で確認した。さらに本研究では患者血清におけるバイオマーカーの探索を行った。顎下腺生検検体の非血球細胞のscRNAseqでは、線維芽細胞、内皮細胞、腺細胞、および筋細胞を含む、複数のクラスターが同定された。遺伝子発現解析では、コントロールと比してIgG4-RDの線維芽細胞では、XV型コラーゲン遺伝子COL15A1の発現が上昇していた。この結果は免疫組織染色で確認された。COL15A1陽性線維芽細胞は他にAPODを高発現し、一方COL15A1陰性線維芽細胞はCXCL13やCCL19を高発現し、両者は異なる機能を示唆する特徴的な遺伝子発現パターンを示した。さらに、XV型コラーゲンは活動性の高いIgG4-RD患者の血清で上昇しており、治療により低下した。以上より、XV型コラーゲン発現線維芽細胞はIgG4-RDの病態を特徴づける非血球細胞であることが示唆された。また、XV型コラーゲンはIgG4-RDの新規疾患活動性マーカーとなり得ることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Arthritis Res Ther
巻: 26 ページ: 55
10.1186/s13075-024-03289-7