研究課題/領域番号 |
21K08441
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
重原 克則 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (70381275)
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研究分担者 |
亀倉 隆太 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70404697)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ダニ特異的舌下免疫療法 / アレルギー性鼻炎合併アトピー型喘息 / 濾胞ヘルパーT細胞 / 濾胞制御性T細胞 / 制御性T細胞 / 制御性B細胞 / ダニ特異的免疫グロブリン |
研究実績の概要 |
ガイドラインに基づく通常治療中のアレルギー性鼻炎合併のアトピー型喘息患者において、ダニ舌下免疫療法(SLIT)を施行した。末梢血で解析した。SLITを追加し濾胞ヘルパーT(Tfh)細胞と誘導されるダニ特異的イムノグロブリン(Der-p/f sIgs)、相互の継時的な変化,及びこれらを制御する濾胞制御性T(Tfr)細胞,さらに制御性T(Treg)細胞と制御性B(Breg)細胞が与える影響について2年間検討した。これらは末梢血で解析した。 鼻炎合併喘息患者20症例を2年間の観察研究を施行。鼻炎と喘息は症状、治療スコアで改善(R)群、非改善(NR)群に分けて解析した。 結果として以下のことが示された。1) 両群でダニ特異的IgEは3Mo以降12Moまで段階的に低下した。しかし、R群ではIgE産生に関わるTfh2細胞が段階的に低下し、特に6Moから12MoにTfh2細胞とIgEは有意に低下。Tfh1細胞は段階的に増加した。一方、NR群では有意な低下は認めなかった。2)R群ではTreg細胞とTfr細胞では6Moと12MoでTfh2細胞と負の相関を認めた。3)さらに、R群では治療1年目においてBreg細胞とダニ特異的IgEは性の相関を認めた。Breg細胞は細胞内IL-10の産生を認めた。4)治療前のTfh2/Tfr細胞比とTfh2/Breg細胞比が2年後の治療の反応性を示すバイオマーカーとして有意であることが示された。 以上の知見より、SLITではTfh2細胞とIgE産生の強い関連が推測されるが、Tfr及びTreg細胞がTfh2細胞を抑制している可能性がある。また、Breg細胞はIL-10産生を介してダニ特異的IgE産生を抑制している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アレルギー性鼻炎合併のアトピー型喘息患者におけるTfh細胞とDer-p/f sIgEの関係性とこれらを制御する細胞等の関連性が大枠の関連は示されつつある。また、病態をを反映するバイオマーカーが示されている。
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今後の研究の推進方策 |
Der-p/f sIgG4、IgG、IgAとTfh細胞や上記の制御性細胞における相互の関係性の十分に解明されていない。IgGに関してはIgGのサブクラスとの検討も必要。必要に応じてin vitroでのダニ抗原を用いた上記細胞とDer-p/f sIgsの解析が必要される可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
若干の研究計画の遅れの為が生じたが、次年度は遅れなく経過しており、次年度の研究を達成する。
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