研究課題/領域番号 |
21K08442
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
松岡 直紀 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50895935)
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研究分担者 |
佐藤 秀三 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20535231)
渡辺 浩志 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40336467)
右田 清志 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60264214)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ループス腎炎 / CCL20-CCR6 axis / Fli-1 / MRL/lprマウス |
研究実績の概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)患者において転写因子Fli-1(Friend leukemia virus integration 1)の発現が亢進していることが以前より知られていたが、マウスモデルを用いた研究で、Fli-1抑制によりループス様腎炎が改善し、生存率が劇的に延長することがわかっている。その機序としてFli-1が複数のサイトカイン、ケモカイン発現制御及び炎症細胞の走化性へ関与することが判明している。CCケモカインであるCCL20はCCR6を発現しているTh17細胞遊走を誘導し、組織での炎症を持続させるTh17免疫応答に関わる(CCL20-CCR6 axis)が、ループス腎炎においてはCCL20が腎組織で発現が上昇し、CCR6陽性免疫細胞が組織への浸潤することが指摘されている。今回CCL20-CCR6 axisにおけるFli-1の未知の役割を解明を目的として研究を行なっている。 ループス様腎炎を発症するループスモデルマウス(野生型MRL/lprマウス)と、Fli-1発現を低下させたFli-1ヘテロループスモデルマウス(Fli-1+/-MRL/lprマウス)を飼育・維持し、腎組織におけるCCL20、CCR6のmRNAの発現を調べた。結果、CCL20mRNAの発現は野生型MRL/lprマウスと比べFli-1+/-MRL/lprマウスで有意に低下していた。CCR6mRNAの発現については2群間で有意な差は認めなった。 現在は、ELISA法での血清中CCL20測定、免疫染色法による腎組織でのCCL20、CCR6発現について2群間での比較、免疫蛍光二重染色法によるCCL20、CCR6発現細胞の探索を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は腎組織におけるCCL20、CCR6発現に関して2群間での比較とこれらケモカイン・受容体の発現細胞の同定までの評価を終えている予定であった。しかし、検体の確保、測定条件の探索・修正、実験結果の評価・解釈に難渋しており、十分な結果を出すにはもう少し時間を要すると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス系統は維持できており、今後野生型MRL/lprマウスと、Fli-1+/-MRL/lprマウスの2群間で腎組織におけるCCL20、CCR6の発現について組織染色を追加し、2群間での比較を行う。また、免疫蛍光二重染色によるCCL20、CCR6 発現細胞を探索し2群間での比較を行う。 さらにマウス全血におけるCCR6発現細胞をフローサイトメトリー法を用いて解析し、2群間での比較を行う。総合的な結果からループス腎炎モデルマウスにおいてFli-1がCCL20-CCR6 axisに対して与える影響について総合的に考察を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は既存の実験試料を用いて実験を行うことが多かったため、またCOVID-19感染蔓延の影響により現地での学会参加の機会が少なく、出張旅費が発生しなかったため残余が生じた。 残額は次年度に繰越し、物品購入、出張旅費等に充てる予定である。
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