研究課題/領域番号 |
21K08450
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
武内 徹 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (10330078)
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研究分担者 |
鈴鹿 隆保 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (50748225)
池本 正生 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 客員教授 (80144385)
小谷 卓矢 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (80411362)
岡田 光貴 京都橘大学, 健康科学部, 助教C (80747569)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 間質性肺炎 / マクロファージ / S100タンパク質 |
研究実績の概要 |
膠原病に伴う間質性肺炎の発症や病態形成にはマクロファージの活性化が関与している。S100タンパク質A8/A9はマクロファージの機能を制御することから、研究者らは、このタンパク質を標的とするリコンビナントタンパク質(MIKO-1)を開発し、本研究においてブレオマイシン誘導性間質性肺炎モデルマウスにおけるMIKO-1の治療効果を明らかにした。 ブレオマイシンはミニ浸透圧ポンプを介して0~7日までマウスに注入した。MIKO-1は100μgをブレオマイシン投与開始後から14日間腹腔内投与し、ブレオマイシン投与4週後に評価した。健常マウス群、未治療群またMIKO-1投与群とで比較検討した。 MIKO-1の腹腔内投与により肺の線維化を1/3まで抑制し、線維性コラーゲンの指標であるHydroxyproline量を健常群と同等のレベルまで低下させた。肺組織を用いた定量PCR法で線維化因子であるTIMP-1のmRNA発現を有意に抑制し、MMP-9は未治療群では低下したが、MIKO-1投与群は健常群と同程度であった。また、炎症性サイトカインであるIL-6、IL-1β、TNFαのmRNA発現を有意に抑制した。一方で、S100タンパク質A8/A9のmRNA発現は有意に増加した。 以上より、ブレオマイシン誘導性間質性肺炎モデルマウスにおいてMIKO-1は炎症性サイトカインおよびS100タンパク質を調節することで肺組織における炎症および線維化を抑制することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿って行っている。
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今後の研究の推進方策 |
MIKO-1はS100タンパク質A8/A9を標的とする分子であり、マクロファージに対して作用すると考えられるが、作用機序は明らかではない。そこで、in vitroにおけるマクロファージに対するMIKO-1の作用について検討をする。また、リンパ球、好中球への作用の有無を検討する。 ブレオマイシン誘導性間質性肺炎モデルマウスでは、肺組織に炎症がブレオマイシン投与後より始まり、1~2週にピークに達する。肺の線維化は、その頃より始まり4週でピークに達する。抗線維化作用を検討するために、ブレオマイシン投与開始後1あるいは2週目からS100タンパク質またはMIKO-1を投与開始するプロトコルで同様の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は概ね計画通りに使用し、次年度はMIKO-Iのマクロファージに対する直接の効果を調べるため、in vitroの実験のための物品購入に使用する予定である。
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