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2022 年度 実施状況報告書

マスト細胞活性化および気管支喘息病態形成に対するSTAP-1の機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K08451
研究機関北海道科学大学

研究代表者

柏倉 淳一  北海道科学大学, 薬学部, 教授 (90373290)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードSTAP-1 / マスト細胞 / IgE
研究実績の概要

Signal-transducing adaptor protein-1(以下、STAP-1)は免疫細胞に高発現しているSTAPファミリーアダプタータンパク質である。我々は、様々な免疫応答に対するSTAP-1の機能的役割をの解明に取り組んでいるが、アレルギー反応に対するSTAP-1の役割は不明であるため、本研究ではマスト細胞IgEシグナルに対するSTAP-1の機能を解明することを目的として研究を行う。
昨年度、申請者はSTAP-1がIgEシグナルのネガティブレギュレーターである可能性を示した。本年度は、その可能性を確実のものとし、作用機序の解明に取り組んだ。野生型およびSTAP-1欠損マウスから骨髄由来培養マスト細胞(BMMC)を樹立し、IgE感作後に抗原刺激したところ、TNFaやIL-6、さらにIL-13 mRNA発現が野生型BMMCと比較し、STAP-1欠損BMMCで増強傾向であった。さらにこれらサイトカインのタンパク質量をELISA法で測定したところ、STAP-1欠損BMMCで有意に増加していた。
次に、IgEシグナル伝達に対するSTAP-1の寄与を調べるため、ウエスタンブロット法でIgEシグナル伝達関連のリン酸化変化を調べた。その結果、抗原刺激後のAkt、p38およびERKのリン酸化の亢進がSTAP-1欠損BMMCで観察された。以上の結果から、STAP-1はマスト細胞でIgEシグナルを負に制御することでサイトカイン産生を抑制することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度、STAP-1がマスト細胞分化に関わらないことを明らかとし、本年度はSTAP-1のIgE依存性マスト細胞活性化に対する機能的役割についても明らかにできた。また、その作用機序にも現在取り組んでおり、興味深い結果が得られつつあり、次年度の実施により、STAP-1がどのような機序を介してIgEシグナルを制御しているかが明らかになりつつあることが理由である。

今後の研究の推進方策

本年度の研究成果から、STAP-1がIgEマスト細胞活性化反応を抑制することが明らかになった。今後はその作用機序の解明を行い、なぜSTAP-1がサイトカイン産生を抑制するのかについて明らかにする予定である。またin vivoでも同様の作用が見られるかについても検討する予定である。
一方で、マスト細胞では他の免疫細胞と異なり、STAP-1のプロテアーゼ依存的な翻訳後切断が起こっている。この作用機序についても解析する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] A peptide derived from adaptor protein STAP-2 inhibits tumor progression by downregulating epidermal growth factor receptor signaling2023

    • 著者名/発表者名
      Maemoto Taiga、Kitai Yuichi、Takahashi Runa、Shoji Haruka、Yamada Shunsuke、Takei Shiho、Ito Daiki、Muromoto Ryuta、Kashiwakura Jun-ichi、Handa Haruka、Hashimoto Ari、Hashimoto Shigeru、Ose Toyoyuki、Oritani Kenji、Matsuda Tadashi
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 ページ: 102724~102724

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2022.102724

    • 査読あり
  • [雑誌論文] STAP-2 Is a Novel Positive Regulator of TCR-Proximal Signals2022

    • 著者名/発表者名
      Saitoh Kodai、Kashiwakura Jun-ichi、Kagohashi Kota、Sasaki Yuto、Kawahara Shoya、Sekine Yuichi、Kitai Yuichi、Muromoto Ryuta、Ichii Michiko、Nakatsukasa Hiroko、Yoshimura Akihiko、Oritani Kenji、Matsuda Tadashi
    • 雑誌名

      The Journal of Immunology

      巻: 209 ページ: 57~68

    • DOI

      10.4049/jimmunol.2101014

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Functional Properties and Physiological Roles of Signal-Transducing Adaptor Protein-2 in the Pathogenesis of Inflammatory and Immune Disorders2022

    • 著者名/発表者名
      Kashiwakura Jun-ichi、Oritani Kenji、Matsuda Tadashi
    • 雑誌名

      Biomedicines

      巻: 10 ページ: 3079~3079

    • DOI

      10.3390/biomedicines10123079

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 突発性肺繊維症病態形成に対するアダブター分子STAP-2の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      竹田 哲平、小林 風輝、柏倉 淳一、織谷 健司、松田 正
    • 学会等名
      第143回日本薬学会
  • [学会発表] STAP-2/CD3ζ結合阻害剤を用いた免疫疾患への応用2023

    • 著者名/発表者名
      安本 尚暉、佐々木 悠斗、河原 生知、柏倉 淳一、織谷 健司、松田 正
    • 学会等名
      第143回日本薬学会
  • [学会発表] TCRシグナルの新規制御機構の理解2023

    • 著者名/発表者名
      柏倉 淳一、松田 正
    • 学会等名
      第143回日本薬学会
    • 招待講演
  • [学会発表] アレルギー炎症反応とSTAPファミリーアダプタータンパク質2022

    • 著者名/発表者名
      柏倉淳一
    • 学会等名
      第8回総合アレルギー講習会
    • 招待講演
  • [学会発表] STAP-2によるB細胞受容体依存性活性化反応の制御2022

    • 著者名/発表者名
      河原 生知、織谷健司、柏倉淳一、松田正
    • 学会等名
      第59回日本生化学会北海道支部例会
  • [学会発表] 新たなT細胞活性化機構の発見と病態制御2022

    • 著者名/発表者名
      柏倉淳一、松田正
    • 学会等名
      第59回日本生化学会北海道支部例会

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公開日: 2023-12-25  

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