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2022 年度 実施状況報告書

B細胞遺伝子発現に基づく病原性形質芽細胞を標的としたSLEの新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K08452
研究機関東北大学

研究代表者

藤井 博司  東北大学, 大学病院, 准教授 (30531321)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード全身性エリテマトーデス / 形質芽細胞
研究実績の概要

本研究の目的は、末梢血形質芽細胞におけるSLE患者と健常人間での発現変動遺伝子(in vivoマイクロアレイ)とBCRのみの刺激とBCR+TLR9の共刺激間での発現変動遺伝子(in vitroマイクロアレイ)の比較に基づき、共通に上昇している遺伝子抽出し、それらの分子を特異的に標的する方法を開発(薬剤の探索)し、最終的にSLE形質細胞を特異的に標的とする治療法の開発につなげる。初年度の研究では、通常のB細胞刺激である抗BCR抗体+CD40Lと病的B細胞(自己反応性B細胞)刺激を想定した抗BCR抗体+CpG(TLR9のリガンド)あるいは抗BCR抗体+R848 (TLR7/8のリガンド)の遺伝子発現をRT-PCRで定量し、in vivoマイクロアレイと比較した。当初は抗BCR抗体+CpG+IFNαによる刺激がもっともin vivoでのSLE形質細胞に特異的な遺伝子変化を反映すると考えていたが、CDC7、MEF2BなどのSLE形質細胞において特異的に上昇している遺伝子は抗BCR抗体+R848+IFNαによる刺激において特異的に上昇していた。また、CDC7阻害薬TAK-931が抗BCR抗体+R848+IFNαにより誘導される細胞分裂を著明に抑制したことを示した。R848, CpGを用いた形質芽細胞へ分化誘導する系(病原性B細胞の活性化系にあたる)は報告されているものの、これらのTLRのリガンドを用いないで形質芽細胞に分化誘導する系の報告はない。病原性B細胞の特徴的な遺伝子発現を検討するためには、非病原性B細胞の誘導系を樹立する必要がある。今年度はin vitroにおける病原性B細胞、非病原性B細胞から形質芽細胞へ樹立する系の樹立を試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究では、通常のB細胞刺激である抗BCR抗体+CD40Lと病的B細胞(自己反応性B細胞)刺激を想定した抗BCR抗体+CpG(TLR9のリガンド)あるいは抗BCR抗体+R848 (TLR7/8のリガンド)で刺激し、in vitroにおいて形質芽細胞(CD27++CD38++)まで分化する系の樹立を試みた。当初は有意な形質芽細胞への分化は認められなかったものの、IL2, IL6, IL21などのサイトカインを途中で培養系に加えることにより、病的B細胞刺激、非病的B細胞刺激ともに30-60%といった有意な形質芽細胞への分化が認められた。また、ELISA法によりこれらが実際に抗体産生細胞であることが確認され、今年度の目標であった病原性、非病原性B細胞のin vitroでの分化誘導系の樹立は完了したと考える。

今後の研究の推進方策

今年後の実験については、抗BCR抗体+CD40L、抗BCR抗体+CpG、抗BCR抗体+R848で刺激されたB細胞→形質芽細胞へのin vitro分化の系を用いて、遺伝子発現をRNA seqにて解析する。発現遺伝子プロファイリングの比較から病原性形質芽細胞に特異的/特徴的に発現上昇あるいは低下している遺伝子を抽出し、それらを標的候補とする制御法の開発を試みる。予備実験にてCDC7の阻害薬であるTAK-931が刺激B細胞の分裂を抑制することを見出しているが、TAK-931がin vitroにおける形質細胞への分化を抑制するかどうかについて検証する。併行して既報であるイミキモド(TLR7/8のリガンド)塗布によるループスモデルマウスを樹立し、TAK-931の投与による発症抑制、治療効果を検証していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

実験計画を一部次年度に予定変更したため。

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公開日: 2023-12-25  

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