研究課題/領域番号 |
21K08457
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
土橋 浩章 香川大学, 医学部, 准教授 (50380176)
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研究分担者 |
亀田 智広 香川大学, 医学部, 助教 (30437678)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / インターロイキン16 / 滑膜細胞 |
研究実績の概要 |
近年、関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患には免疫細胞を中心として産生されるサイトカインが病態の重要な役割を担っている事が明らかにされた。さらにそれぞれの自己免疫疾患の病態に重要とされるサイトカインが同定され、サイトカインtaxonomyを考慮した様々な抗サイトカイン療法が開発されている。本研究は、新たな治療標的サイトカインの一つとして「インターロイキン16(IL-16)」の重要性を提唱し、関節リウマチ患者由来および変形性関節症由来の滑膜細胞を用いたin vitroの実験と関節炎モデルマウスを用いたin vivoの実験によりIL-16の制御が関節リウマチの滑膜増殖(炎)の制御を可能にするか否かを明らかにする。さらにIL-16を標的とした抗サイトカイン療法を関節リウマチを中心とした新規治療への展開を試みる。 関節リウマチの病態の中心となる滑膜増殖に関するサイトカインはTNF-αやIL-1β、IL-6以外のサイトカインも病態に関与しており、これが全ての関節リウマチの関節炎・関節破壊を制御できない理由の一つと考えられている。本研究では、IL-16による関節リウマチの滑膜細胞増殖の関与メカニズムを明らかにし、IL-16を標的とした新たな抗サイトカイン療法の開発を目的としている。本研究ではまず関節リウマチ患者および変形性関節症由来の滑膜細胞においてrIL-16による刺激を行った。その結果、変形性関節症由来の滑膜細胞に比べて関節リウマチ由来の滑膜細胞では細胞増殖されることが確認された。この結果を踏まえて関節リウマチ由来の滑膜細胞におけるIL-16のシグナル伝達の解明および関節炎モデルマウスを用いたin vivoでのIL-16制御による効果を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大による研究代表者および研究分担者の診療業務の負担増に加え、研究代表者の学内・学外での業務も増えたため予定している研究がやや遅れている。しかし、マンパワーが拡充されてきており、今後は予定している研究の遂行が可能と考えられる。細胞株および人を用いてのin vitroの研究はすすんでおり、IL-16の関節炎に対する効果および影響を検証できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は関節リウマチ由来の滑膜細胞を用いてIL-16刺激による細胞内リン酸化蛋白の変化を経時的に検討し、IL-16のシグナル伝達を明らかにする。また、in vitroの研究成果を関節炎モデルマウスを用いて検証する段階に移行できるか否かを慎重に検討する予定である。同時にヒトにおいて血清IL-16および滑膜細胞でのIL-16の発現を検討し、関節炎の活動性との関連の評価を行うことで治療のターゲットになり得るか否かの検証を進める。さらに、抗IL-16抗体などの阻害薬を利用して関節炎に対する制御効果を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大による研究代表者および研究分担者の診療業務の負担増に加え、研究代表者の学内・学外での業務も増えたため予定している研究がやや遅れている。しかし、マンパワーが拡充されてきており、今後は予定している研究の遂行が可能と考えられる。細胞株および人を用いてのin vitroの研究はすすんでおり、IL-16の関節炎に対する効果および影響を検証できている。今後は関節リウマチ由来の滑膜細胞を用いてIL-16刺激による細胞内リン酸化蛋白の変化を経時的に検討し、IL-16のシグナル伝達を明らかにする。また、in vitroの研究成果を関節炎モデルマウスを用いて検証する段階に移行できるか否かを慎重に検討する予定である。同時にヒトにおいて血清IL-16および滑膜細胞でのIL-16の発現を検討し、関節炎の活動性との関連の評価を行うことで治療のターゲットになり得るか否かの検証を進める。
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