研究課題/領域番号 |
21K08458
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
星野 克明 香川大学, 医学部, 教授 (50324843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 形質細胞様樹状細胞 / 希少糖 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
マウス骨髄に含まれる造血幹細胞を、Flt-3 ligandを添加したRPMI1640培地で8日間in vitro培養すると、樹状細胞集団を分化誘導することができる。この樹状細胞集団中に含まれる形質細胞様樹状細胞(pDC)は、TLR7リガンド(1本鎖RNA)、あるいはTLR9リガンド(CpG DNA)の刺激に応じてサイトカイン(IFN-αおよびIL-12p40)を産生する。これまでの研究で、同刺激に伴うpDCのサイトカイン産生が、機能性単糖(希少糖:D-アロース)の濃度に依存して抑制されることを発見している。 In vitroで分化誘導したpDCだけではなく、マウス脾臓から分取したpDC、およびマウス骨髄から分取したpDCも、TLRリガンド刺激に伴うサイトカイン産生がD-アロースの存在下で減弱することを明らかにした。さらに、pDCの刺激により誘導される共刺激分子(CD86)の発現亢進が、D-アロースを含む条件下ではサイトカイン産生と同様に抑制されることを明らかにした。 昨年度は、D-アロースによるpDCのサイトカイン産生の抑制と、MAPKファミリーのリン酸化レベルの減弱が関連することを示している。MAPKシグナルの阻害がpDCのサイトカン産生を低下させることができるか、3種類のMAPKインヒビターを用いて調べた。その結果、p38 MAPKインヒビターが、サイトカイン産生を抑制することを明らかにした。D-アロースによりp38 MAPKシグナルの抑制が誘起されていると考えている。本機序を解明することが今後の課題である。 令和4年度は、これまでの研究成果を主にまとめて特許を出願し、続いて論文に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予想とは異なる方向に研究が進んでおり、希少糖によるpDCの機能抑制メカニズムを解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の立案時とは異なり、新しい機器(細胞外フラックスアナライザー)が本学に整備された。今後は、細胞外フラックスアナライザーを用いて、希少糖D-アロースがpDCの糖代謝系やATP産生に及ぼす影響を調べる予定である。また、動物実験については、イミダゾキノリン誘導型マウスSLE病態モデルを用いて、D-アロースの投与が病態の改善に有効であるか比較観察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の立案時の予想とは異なる結果を得たため、物品費への支出計画が変化した。また、Covid-19状況下において、令和4年度に動物実験を実施できなかった。これら理由により支出が減少した。 令和5年度は、動物実験を含めた新しい解析を行う予定であり、次年度使用額分と合わせて予算を執行する。
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