研究実績の概要 |
樹状細胞(Dendritic Cells: DCs)は、1973年新しい免疫担当細胞として報告されて以来、マウスやヒトにおいて多くの報告や治験がなされている。樹状細胞(DCs)は抗原提示細胞である一方で免疫寛容を導く点においても重要な役割を果たしている。以前我々は、免疫寛容樹状細胞(tolerogenic DCs:tDCs)への分化誘導が促進する物質としてCキナーゼ阻害薬(PKCI)を見出した。PKCIを用いて誘導したtDCs(PKCI-tDCs)は他の誘導物質(IL-10, VitD3, ATRA, Dexa, TGF-β, rapamycinなど)と比較して臨床応用可能なtDCsとして最も有力であることを証明している。また、関節リウマチ、シェーグレン症候群の患者の検体においてもPKCIを用いてtDCsが誘導できることを確認した。これらの結果から、tDCsを用いた抗原特異的免疫抑制療法の確立のため、PKCI-tDCsの臨床への応用を目指してPKCI-tDCs解析をすすめた。PKCI-tDCsの誘導に関与するmiRNAを検索するため、未熟樹状細胞,成熟樹状細胞,PKCI-tDCsから全RNAを抽出し、miRNAarray(ジェネティックラボ株式会社と協力)にて比較解析を行い、let7a-5p, Let7c-5p, miR-15a-5p, miR-98-5p, miR-130a-3p, miR-192-5p, miR-202-3p, miR-221-3p, miR-376a-3p, miR-423-5p, miR-509-5p, miR-518f-3p, miR-616-3p, miR-708-5pの14種類がPKCI-tDsにおいて発現が高く認められ抽出した。miRNAの導入をlipofectamineで確認し、上記miRNAを未熟樹状細胞に導入し、細胞の表現型の比較を行い、免疫寛容樹状細胞への誘導を比較研究した。
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