研究実績の概要 |
本年度は、T-bet+エフェクターB細胞(T-bet+Beff)の特徴について以下のような研究を進めた。 (1) これまでの研究から、T-bet+Beffの分化誘導にはIFN-γとIL-21が重要な役割を果たすことが示唆される。そこで、これらのサイトカイン産生能が高いとされる濾胞性ヘルパーT細胞 (Tfh)ならびに末梢性ヘルパーT細胞 (Tph)とCD19+B細胞と共培養を行ったところT-bet+Beffが同程度に分化誘導された。また、これらの分化誘導はIL-21ならびにIFN-γに対する中和抗体の存在下では著明に抑制された。さらに、これらの共培養で誘導されるT-bet+Beffは通常のB細胞とは異なるCD21loCD11c+の表現型を呈していた。 (2) T-bet+Beffの機能的意義を抗体産生性の観点から検討を行った。TfhならびにTphとCD19+B細胞と一定期間の共培養の結果、CD38hiCD27hi形質芽細胞が同程度に分化誘導された。また、免疫グロブリンIgG産生について測定を行ったところ、Tphに比べてTfhとCD19+B細胞の共培養で高い傾向にあった。 (3) T-bet+Beffの機能的意義を抗体非依存性の観点から検討を行った。CD21loCD11c+のT-bet+Beffのサイトカイン産生能についてCD11c-B細胞との比較を行ったところ、IL-6, TNF-α, IL-12などの産生が高かった。 (4) 全身性自己免疫疾患の代表であるSLEの末梢血においてTfh, Tph, T-bet+Beffは健常人と比較して豊富に存在していた。また、TfhやTphでは細胞表面のCD69発現はSLEで高かったが、HLA-DR, CD38, ICOS, CCR2などの発現レベルは健常人と同等だった。
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