研究課題
(1)これまでの研究から、T-bet+エフェクターB細胞(T-bet+Beff)の分化誘導には濾胞性ヘルパーT細胞 (Tfh)と末梢性ヘルパーT細胞 (Tph)の産生するIFN-γとIL-21が重要である。CD8+T細胞に着目したところ、TfhとTphに類似した表面分子や転写因子を発現するサブセットを同定した。また、これらのサブセットは、TfhとTphと同様、CD19+B細胞との共培養によってT-bet+Beffを分化誘導し、IL-21とIFN-γに対する中和抗体の存在下にて著明に抑制された。(2)Naive ならびにmemory B細胞からT-bet+Beffが誘導される。これらの形質細胞への分化誘導能について検討したところ、memory B細胞由来のT-bet+Beffで強いことが示唆された。また、T-bet+Beffでは、ともに TNF-α,IL-6などのサイトカインを産生し、その産生もmemory B細胞由来のT-bet+Beffで強い傾向にあった。(3)自己免疫疾患であるRAとSLEにおけるT-bet+Beffの量的・質的異常や臨床データとの相関を検討した。RA患者においては、T-bet+Beffが末梢血にて増加し、このサブセットは関節破壊と関与するRANKL産生が高かった。SLE患者においては、T-bet+BeffはRA患者より顕著に末梢血で増加し、TNF-α,IL-6などのサイトカイン産生能については健常人より高かった。また、SLE患者T-bet+Beffの割合は、疾患活動性や治療反応性と良く相関することが判明した。さらに、こうした変化はTfhよりもTphの変化と関連していた。研究期間全体を通じて、T-bet+Beffの分化誘導メカニズムや機能的意義、さらには自己免疫疾患の病態における役割を明らかにすることができた。
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