研究課題/領域番号 |
21K08464
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
横田 和浩 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (20406440)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 関節リウマチ / 関節破壊 / 破骨細胞 / 破骨細胞分化誘導因子(RANKL) / 炎症性サイトカイン / 細胞内シグナル伝達経路 |
研究実績の概要 |
関節リウマチは、慢性持続性滑膜炎によって惹き起こされる関節近傍の骨・軟骨組織破壊とそれに伴う機能障害を特徴とする全身性自己免疫疾患である。この疾患の病態には、腫瘍壊死因子(TNF)とインターロイキン-6(IL-6)が重要な役割を果たしている。最近の治療薬の進歩にもかかわらず、約60%患者が寛解に至らず、関節破壊が進行し、最終的には日常生活動作と生活の質の低下をきたす。このため、新たな治療戦略の開発が急務であると考えられている。関節破壊は主に活性化された破骨細胞による骨吸収によって進行するため、破骨細胞は有望な治療標的細胞と考えられている。 従来の通常型破骨細胞の分化は破骨細胞分化因子(RANKL)に依存するが、申請者はマウス骨髄単球をTNF-αとIL-6で刺激・培養することにより、TNF-αとIL-6誘導性破骨細胞(炎症性破骨細胞)が分化することを世界で最初に発見し、この分野での注目を集めている。さらに、関節リウマチ患者の末梢血単球からの炎症性破骨細胞の分化能が関節破壊の進行度と相関し、通常型破骨細胞の分化能が全身性骨粗鬆症の進行度と相関していることを明らかにした。これにより、炎症性破骨細胞と通常型破骨細胞の性質および機能の差異が示された。 本研究では、シングルセル解析を用いて同定された炎症性破骨細胞と通常型破骨細胞の特異的な細胞表面分子に注目した。関節リウマチ患者の脛骨近位端では、変形性関節症患者と比較して、酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ陽性、Protein X陽性、Protein Y陰性を示す炎症性破骨細胞が多数、骨びらん部位に観察された。これにより、炎症性破骨細胞は関節リウマチの関節破壊の病態に関与している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
骨組織の脱灰パラフィン連続切片の作成と、骨組織切片における炎症性破骨細胞特異的な発現分子の免疫組織化学染色に、想定以上に時間がかかった。
|
今後の研究の推進方策 |
症例数を増やして再現性を確認する。また、炎症性破骨細胞と従来のRANKL誘導性破骨細胞の発現率を比較し、臨床的指標との相関を解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定通りに実験が進まず、消耗品の購入が不要だった。実験は予定通りに進んでおり、これらの消耗品購入に使用予定である。
|