研究課題/領域番号 |
21K08469
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
白井 剛志 東北大学, 大学病院, 助教 (20646997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高安動脈炎 / 潰瘍性大腸炎 / EPCR |
研究実績の概要 |
高安動脈炎における腸内細菌叢異常の解析として、腸内細菌叢の次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析を行った。高安動脈炎患者からの糞便を検体とし、糞便よりDNAを抽出し精製、次世代シークエンサーを用いて、16S rDNA V3・4領域のシークエンスを行った。20検体を用いて、シークエンス解析を行い、Ribosomal database project (RDP)による帰属分類群の推定を行った。この結果を用いて、高安動脈炎における腸内細菌叢の解析を進めている。臨床検体との比較では、腸内細菌叢異常を伴う症例では、bacterial translocationが考慮される、血流感染を起こしやすい可能性が考慮された。 抗EPCR抗体の臨床的意義の解析のために、消化管疾患を対象とし、潰瘍性大腸炎、Crohn病をはじめとする炎症性腸疾患や大腸がんを含む非炎症性疾患での抗体価測定を行った。抗EPCR抗体は潰瘍性大腸炎の70%以上で認められ、Crohn病では大腸炎を呈する症例に認められれたが、他の非炎症性疾患では出現せず、大腸炎に関連する事が明らかになった。また、疾患活動性との相関も一部で認められている。 自己抗体の向炎症能解析として、抗EPCR/SR-BI抗体を血管内皮細胞と共培養することにより、血管内皮細胞機能への影響、直接的な細胞傷害性、アポトーシス誘導、免疫担当細胞への機能修飾を検討した。内皮細胞機能への影響として、血管内皮細胞に抗EPCR/SR-BI抗体を添加し、接着分子や前炎症性サイトカインを定量した。EPCRによる炎症抑制作用は様々な細胞においてみとめられ、組織特異的な現象について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炎症性腸疾患における抗EPCR抗体の臨床的意義を評価し、報告する事ができた。病態形成能の解明については評価中である。
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今後の研究の推進方策 |
EPCRの臨床病理検体における局在を検討し、EPCR発現細胞の同定を行う予定である。EPCRの機能は血管内皮細胞以外はあまり解明されていないため、免疫細胞におけるEPCRの機能解析を進める予定である。腸内細菌叢解析には、検体数を増やし、活動期/非活動期での比較を行えるとより望ましいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存試薬を使用する事が可能であったこと、コロナウイルス感染症により旅費が使用されなかったため、次年度使用額が生じた。次年度はシークエンス解析や試薬追加を予定している。
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