研究課題/領域番号 |
21K08473
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川野 充弘 金沢大学, 附属病院, 講師 (20361983)
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研究分担者 |
柳田 素子 京都大学, 医学研究科, 教授 (70378769)
山田 和徳 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90397224)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | IgG4関連疾患 / IgG4関連腎臓病 / 花筵状線維化 / 三次リンパ組織 / Lat Y136F変異マウス |
研究実績の概要 |
IgG4関連疾患における三次リンパ組織(リンパ濾胞: TLT)の役割については、リンパ濾胞が多数認められる涙腺や唾液腺病変に関して注目が集まっており、発症機序に関する基礎的研究が行われている。しかしながら、リンパ濾胞の形成がほとんど認められない腎臓に着目した研究はなく意義は不明である。本研究では、ヒト腎生検組織及びIgG4関連疾患モデルマウスを用いて、本疾患の典型臓器病変の一つである腎病変における病変進展と線維化促進に関与するリンパ濾胞の役割を明らかにする。 1.ヒト腎臓病理組織標本を用いたTLTの形成頻度の検討:ヒトIgG4関連尿細管間質性腎炎5症例、特発性間質性腎炎4症例、シェーグレン症候群の間質性腎炎1例に免疫染色を行い、TLTの形成に差があるかを比較検討した。IgG4関連尿細管間質性腎炎のTLTは単位面積当たり0.44±0.27であり、コントロール群の0.17±0.19に比して多い傾向にあった。特に、advanced stage TLTはIgG4関連尿細管間質性腎炎5例中4例に認められたが、特発性間質性腎炎は4例中1例のみであった。 2.IgG4-RDの動物モデルであるLat Y136F変異マウスにTLT産生誘導の刺激を加えることによるIgG4関連尿細管間質性腎炎及び線維化形成機序の検討:IgG4-RDの動物モデルとしてLat Y136F変異マウスを用い、TLTを誘発する刺激として、片腎虚血再灌流による急性腎傷害誘発モデル、アデニンを用いた間質性腎炎誘発モデル(アデニン腎炎モデル)を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Lat Y136F変異マウスはホモのみが病変を形成するが、なかなかホモが生まれなかった。 片腎虚血再灌流による急性腎傷害誘発モデルの主義の確立に手間取った。
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今後の研究の推進方策 |
1.片腎虚血再灌流による急性腎傷害誘発モデル、アデニンを用いた間質性腎炎誘発モデル(アデニン腎炎モデル)の作成手技を確立し、コントロールマウスの腎臓と以下の項目を比較する。TLTの形成頻度、間質性腎炎病変の広がり、Tfh2細胞の発現頻度、IL-4, IL-10, TGF-βの発現頻度を比較検討する。 2.ヒト腎組織におけるTLTの形成が疾患によってどのくらい異なるかを明らかにするため、さらに多くのIgG4関連尿細管間質性腎炎及びコントロールとなる特発性間質性腎炎を集めて免疫組織学的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体購入費、PCR酵素購入費などの多数の支出が見込まれ、次年度に持ち越した。 今年度は、マウスの実験の遅れのため、モデルマウスの作成が軌道に乗ってから試薬を購入する方針とした。
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