研究実績の概要 |
アレルギー疾患における難治化機序の解明とそれに対する治療戦略の構築は, 当該領域における重要な課題である。我々は,線維芽細胞から産生されるマトリセルラータンパク質であるペリオスチンが,さまざまな炎症疾患に関与するとともに, 炎症における線維化形成に深く関与していることを明らかにしてきた。これに基づき, ペリオスチンがアレルギー疾患における新規の創薬標的となるとともに, アレルギー病態を反映するバイオマーカーとなることを示してきた。本研究では,ペリオスチン研究をさらに発展させ,アレルギー疾患の難治化機序の解明とそれに対する治療戦略の構築の課題に対するプロトタイプ(原型)となる解答を示すことを目指している。 本研究における昨年度の代表的な研究成果として,以下があげられる。我々は,以前,血中においてペリオスチンがIgAと複合体を形成して存在していることを明らかにしていた(Ono, Allergology International, 69, 111-120, 2020)。これまで確立していたペリオスチン測定キットは,IgAとの結合を受けることから,今回IgAとの結合の影響を受けない新規のペリオスチン測定キットを樹立した(Takai, Annals of Clinical Biochemistry, 59, 347-356, 2022)。 この研究成果は,ペリオスチンをアレルギー疾患のバイオマーカーとして臨床応用する上で, 非常に有用であると考えられる。
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