研究実績の概要 |
成人スティル病患者72名と健常人16名から末梢血を採取し、全血で遺伝子発現を検討した。成人スティル病患者は、全身性疾患活動性指標であるsystemic feature scoreによって活動期、寛解期、非寛解期を区別した。活動期患者8名と傾向スコアで背景をマッチさせた健常人8名で、成人スティル病活動期に特徴的な遺伝子を探索した。発現変動遺伝子 (Differential Expression Genes; DEGs)の閾値をfold change > 1.8, Padj < 0.01と設定したところ、2844のDEGsが抽出された。そこから絞り込むために、説明変数が多くサンプル数が少ない場合でも有用な部分最小二乗回帰モデルを用いて、遺伝子発現による疾患活動性スコアを構築した。本スコアをvalidation cohortとして寛解期および非寛解期の成人スティル病患者に適用したところ、有意に疾患活動性を反映しており、本スコアがマクロファージ活性化の程度を反映する可能性が示唆された。 成人スティル病患者37名と健常人5名、その他血管炎、関節リウマチ、全身性強皮症など計60名の患者から末梢血を採取した。Mass cytometryで合計37のCDまたは細胞表面グロブリンを染色し、細胞を詳細に分類した。健常人および他の全身性自己免疫疾患患者と比較して、成人スティル病患者に特徴的な47クラスターが同定された。これら47細胞クラスターを疾患活動性および使用治療薬から、3グループに細分類した。ここから寛解状態に分類されても、健常人とは異なる細胞集団が残存しており、NK細胞を中心とした細胞であることがわかった。これらは今後の治療標的となり、また成人スティル病の易刺激性と突然のマクロファージ活性化症候群発症に関与する可能性があり、これら細胞の特徴をさらに検討していく。
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