研究実績の概要 |
【目的】抗melanoma differentiation-associated gene 5 (MDA5)抗体陽性の皮膚筋炎(DM)に併発した急速進行性間質性肺炎(RP-ILD)の寛解後の再発に関する検討. 【方法】2020年まで当科を受診したRP-ILD併発抗MDA5抗体陽性DM患者41例のうち,寛解を達成した28症例を対象にした.入院時の年齢, 性別, 入院時の酸素投与量, 血清クレアチニンキナーゼ(CK), KL-6, CRP, フェリチン, 抗MDA5抗体の抗体価, 胸部HRCT画像所見を寛解維持群,再発群に層別化して後ろ向きに比較検討した.経過中に何らかの臨床症状の悪化を認め,免疫抑制療法が強化された症例を再発例と定義した. 【結果】41例中,13例が治療に十分反応せず,急性期に呼吸不全により死亡した.治療が奏功し寛解を達成した28例のうち5例(18%)が維持療法中に再発した.再発例は,男性2名、女性3名,平均年齢50±11歳で4症例がCADMであった.再発時点で,2例で発熱を認めたが,呼吸困難を自覚したのは1例のみであった.血清CK,CRPおよびフェリチン値は正常範囲より上昇した症例は1例のみであったが,血清KL-6値は3例で正常範囲より上昇した.再発前後で測定可能であった3例全例の抗MDA5抗体力価はcut-off以上に再上昇を認めたが,寛解維持群では抗体価の再上昇は認めなかった(60% vs. 0%,P=0.003).再発群の全5例でコルチコステロイドの増量,4例でシクロスポリンAの増量/追加,シクロフォスファミドの追加およびJAK阻害薬が開始されて,全例で呼吸器症状などの臨床症状の改善を認めた. 【結論】抗MDA5抗体陽性DMに併発するILDの再発は稀とされているが,再発例も存在し,その再発予測には抗MDA5抗体力価の推移が有用であることが示唆された.
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