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2022 年度 実施状況報告書

関節リウマチに合併する間質性肺炎の気道細菌叢による制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 21K08482
研究機関東邦大学

研究代表者

西尾 純子  東邦大学, 医学部, 教授(寄付講座) (40598679)

研究分担者 南木 敏宏  東邦大学, 医学部, 教授 (00282749)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード関節リウマチ / 間質性肺疾患 / 肺細菌叢 / 細胞老化 / SASP / p21 / p16 / ブレオマイシン誘導間質性肺炎
研究実績の概要

本研究では、肺細菌叢によるRAに併発するILD (RA-ILD) の制御機構を明らかにするため、以下の1) - 3)を計画した。1) RA-ILDマウスモデルを用いて、肺細菌叢の肺線維化への関与機構を検討する一方、2) RA-ILD患者の気道細菌叢や増加する代謝物質を検討し、3) RA-ILD患者で増加する細菌や代謝物質の肺線維化への影響をin vitroやマウスモデルで検証する。1)に関しては、4種類の混合抗生剤あるいは単剤を先行投与し、肺細菌叢を変化させたマウスのブレオマイシン誘導間質性肺炎(BLM-ILD)の重症度を検討したが、抗生剤を投与しないマウスと有意差を認めなかった。2)については、RAとRA-ILD患約50名、健常者約50名の口腔咽頭洗浄液検体を収集し、メタゲノム解析を行ったところ、RA患者と健常者の気道細菌叢のβ多様性が異なることが明らかになった。また、健常者、RA患者、RA-ILD患者各7名のの口腔咽頭洗浄液検体のメタボローム解析を行い、RA患者でアルギニン生合成の低下を認めた。今後、口腔咽頭細菌叢の菌種構成および細菌遺伝子解析を行うことにより、RA-ILDにおいて変化のある細菌や細菌代謝経路を明らかにし、マウスモデルを用いてILDとの関連を検証する。一方、一連の研究の過程で、BLM投与直後より2型肺胞上皮細胞(AEC2)が、肺線維化に先行して老化細胞マーカーであるp21およびp16を発現し、肺線維化の進行とともに増加することを見出した。AEC2は肺線維化早期からsenescence-associated secretory phenotype (SASP)を獲得し、IL-6、CCL2、TGFβ、PDGFaなどを産生しており、単球の浸潤や早期の線維芽細胞の活性化を誘導することを明らかにした。この結果は、論文として発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度、特に進捗があったのは、2)のRA-ILD患者の気道細菌叢や増加する代謝物質の検討について、メタゲノム解析とメタボローム解析を終了し、一定の結果を得たことである。メタゲノム解析では、RA患者と健常者の気道細菌叢のβ多様性が異なることが明らかになっており、有意に変化する細菌種について明らかになっていること、また、メタボローム解析ではRA患者では、アルギニン生合成代謝が低下していることが明らかになっているため、おおむね順調に進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

患者口腔咽頭細菌叢のメタゲノム解析とメタボローム解析を受託解析にて行い終了しており、現在、口腔咽頭細菌叢の菌種構成および細菌遺伝子解析を行っている。今後、RA-ILDにおいて変化のある細菌や細菌代謝経路を明らかにし、マウスモデルを用いてILDとの関連を検証する。口腔咽頭洗浄液で増加している候補については、各々の代謝物質を質量分析にて実測するとともに、血漿でも同様に測定する予定である。

次年度使用額が生じた理由

消耗品の一部を当該年度末に注文したが、2022年度内に納品がなかったため年度内の支払いができなかった。次年度は、質量解析用の試薬、一部の代謝化合物の受託解析、学会参加・論文発表の費用に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Senescence of alveolar epithelial cells impacts initiation and chronic phases of murine fibrosing interstitial lung disease2022

    • 著者名/発表者名
      Yamada Zento、Nishio Junko、Motomura Kaori、Mizutani Satoshi、Yamada Soichi、Mikami Tetuo、Nanki Toshihiro
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 13 ページ: 935114

    • DOI

      10.3389/fimmu.2022.935114

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 間質性肺炎における細胞老化機構の関与2022

    • 著者名/発表者名
      山田善登、西尾純子、南木敏宏
    • 学会等名
      第66回日本リウマチ学会総会
  • [学会発表] RAに併発する間質性肺炎に関与する細胞老化機構の解明2022

    • 著者名/発表者名
      渡邉萌理、西尾純子、本村香織、山田善登、南木敏宏
    • 学会等名
      第9回JCRベーシックリサーチカンファレンス
  • [学会発表] Senescence of alveolar epithelial cells impacts initiation and chronic phases of murine fibrosing interstitial lung disease2022

    • 著者名/発表者名
      Junko Nishio, Zento Yamada, Kaori Motomura, Satoshi Mizutani, Soichi Yamada, Tetuo Mikami, Toshihiro Nanki
    • 学会等名
      第51会日本免疫学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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