研究課題
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLVー1)はヒトCD4T細胞に感染するレトロウイルスとして知られる。多くの感染者は無性候性キャリアとして生活しており、一部の感染者で成人T細胞白血病(ATL)や慢性炎症性疾患(HTLVー1関連脊髄症:HAM、ぶどう膜炎など)を惹起する。HAMではHTLVー1抗原(特にTax)に対するCD8T細胞応答が観察されている。HAMの主な病巣である脊髄ではHTLVー1感染CD4T細胞とHTLVー1特異的CD8T細の浸潤とそれらに伴う慢性炎症像を呈する。HAMの治療法としてはこれまで対症療法が主だった一方で、近年では新規治療法としてHTLV-1感染細胞で発現が上昇しているCCR4(CーC chemokine receptor type 4)に対するヒト化モノクローナル抗体(モガムリズマブ)を投与することで生体内の感染細胞を排除する試みがなされている。HAMはキャリアの一部が発病する難治性疾患のために、その発症機構にはHTLVー1のウイルスタンパク による影響に加えて、感染者のHLA型やTCR/BCRなどの獲得免疫応答が発病の惹起に強く関与している可能性が考えられている。これまでHAMの診断マーカーとして脳脊髄液中のネオプテリンやCXCL10濃度の測定が行われてきた。その一方で、HAMの早期発見・治療を目的とした発症マーカーはいまだに発見されていない。本研究ではHAM患者の病変部に浸潤・増加した抗原特異的CD8T細胞が発現する遺伝子に着目して解析を行い、末梢血中でのそれら特異的T細胞が発現する発症リスク遺伝子を発見することを目的としている。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)
Communications Biology
巻: 7 ページ: -
10.1038/s42003-024-06025-8
Cancers
巻: 16 ページ: 47~47
10.3390/cancers16010047
Biomolecules
巻: 13 ページ: 1543~1543
10.3390/biom13101543