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2022 年度 実施状況報告書

弱毒生ヒトロタウイルスワクチン株を基盤とした腸管指向性ベクターの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K08498
研究機関藤田医科大学

研究代表者

福田 佐織  藤田医科大学, 医学部, 特別研究員 (50896884)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードロタウイルス / 遺伝子操作系 / 腸管指向性ベクター / 弱毒ロタウイルスワクチン / ロタリックス
研究実績の概要

ロタウイルス(RV)は地球規模で、発展途上国を中心に年間12万人以上の乳幼児死亡の原因となっている嘔吐下痢症の病原体である。RVの増殖や病原性発現の機構を理解してRV胃腸炎を制御することは非常に重要である。これら機構を解明するうえで強力な手法となるのが、ウイルスゲノムの任意な改変を可能とする遺伝子操作系である。申請者らのグループは、2018年に、増殖能がきわめて高いサルRVを用いて、RVゲノムをコードする11本のプラスミドのみから、しかもきわめて高効率に組換えRVを作製できる独自の遺伝子操作系(11-プラスミドシステム)の開発に成功した。近い将来、RVをウイルスベクターとした臨床応用が可能となるように、実臨床での使用ですでに安全性が実証されている弱毒生ワクチンRotarix株に11-プラスミドシステムを適用することで、安全性の確保された腸管指向性RVベクターを創出することが、本研究の目的である。
初めにRotarix株の各遺伝子をT7 RNAプロモーター下流に配置した、全11本からなるRotarix株ゲノムをコードするプラスミドセットを構築した。その後、増殖性がきわめて高いサルRV(SA11-L2 株)をバックボーンとして、Rotarix株の遺伝子分節を1本ずつ有する、計11本モノリアソータントパネルの作製を試みる。ヒトRVに由来するRotarix株の増殖性はきわめて低いことが予測されるため、胃腸炎患者下痢便中から効率良くRVを分離する際に用いられる方法(高濃度トリプシン添加と回転培養)を11-プラスミドシステムと組み合わせて用いて実施している状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は難しいと予測される増殖性のきわめて低いヒトロタウイルスの遺伝子操作系である。しかし、2019年に本研究とは別のヒトロタウイルス株での成功例をもとに、11 本のゲノム分節のすべてがRotarix cDNA からなる組換えRotarix株の創出に挑戦している。現在、当初の予定通りの結果が得られつつあるため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

実際に臨床応用を目指し、外来遺伝子を発現する組換えRotarix株の作製にも挑む。RV遺伝子の1つであるNSP1遺伝子はRV増殖に必須ではない非構造蛋白質NSP1をコードするため、NSP1オープンリーディングフレームの大部分を外来遺伝子と置換することができる。そこで、申請者らのグループは外来性のレポーター遺伝子を外来遺伝子候補としてNSP1遺伝子に挿入する。このレポーター遺伝子を発現する組換えRotarix株作製の後、in vitroでのレポータータンパク発現を確認し、さらにin vivoでの発現確認などを行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度では外来遺伝子を発現する組換えRotarix株の作製のため、新規plasmid合成費だけでなく、高額となる乳のみマウスでの実験が必要となると予測されているため、計画的に次年度使用額として残しました。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Rotavirus incapable of NSP6 expression can cause diarrhea in suckling mice2022

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Saori、Kugita Masanori、Higashimoto Yuki、Shiogama Kazuya、Tsujikawa Hanako、Moriguchi Kyoko、Ito Naoto、Sugiyama Makoto、Nagao Shizuko、Murata Takayuki、Taniguchi Koki、Komoto Satoshi
    • 雑誌名

      Journal of General Virology

      巻: 103 ページ: -

    • DOI

      10.1099/jgv.0.001745

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Establishment of a reverse genetics system for avian rotavirus A strain PO-132022

    • 著者名/発表者名
      Kanda Marika、Fukuda Saori、Hamada Nanami、Nishiyama Shoko、Masatani Tatsunori、Fujii Yuji、Izumi Fumiki、Okajima Misuzu、Taniguchi Koki、Sugiyama Makoto、Komoto Satoshi、Ito Naoto
    • 雑誌名

      Journal of General Virology

      巻: 103 ページ: -

    • DOI

      10.1099/jgv.0.001760

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 乳のみマウスにおけるNSP6欠損ロタウイルスの増殖能および病原性の解析2022

    • 著者名/発表者名
      4.福田佐織, 東本祐紀, 谷口孝喜, 河本聡志
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      臨床とウイルス

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公開日: 2023-12-25  

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