研究課題/領域番号 |
21K08513
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高橋 孝 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (00292855)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人獣共通感染症 / 病原細菌 / 転写物配列 / 宿主細胞内侵入 / 宿主細胞内生存 |
研究実績の概要 |
1.犬レンサ球菌の人侵入経路として皮膚がある。非感染時の菌由来RNA発現値を基礎値として、人皮膚角質細胞内への侵入(感染2時間後)⇒生存(感染5時間後)に関わる発現増強/発現減弱したRNA配列を網羅的に探索した。先行研究で得られている同細胞内への高侵入能を有する臨床分離菌株および標準菌株を選定した。各種ビーズを用いて人細胞由来RNAを極力除去したRNA抽出物を作製し、網羅的RNA配列解析へ供した。その結果、遺伝子発現プロファイルの主成分分析により、非感染⇒感染2時間⇒感染5時間での包括的な発現プロファイルを系統化した。遺伝子発現の差異解析により上位50に該当する発現増強/発現減弱した遺伝子群をその推定機能別に集約化できた。同遺伝子群より異なる機能に属する標的遺伝子2種を各々選び、定量的逆転写核酸増幅法で発現増強/発現減弱の妥当性を確認した。検索した限り、本菌のRNA配列解析は新知見となる。 2.犬の潰瘍性角膜炎より犬レンサ球菌が高率に分離される。2021年に犬の眼領域検体(角膜5株/眼脂4株)より分離した犬レンサ球菌9株の微生物学的特性を解明する目的で、2021年に犬の耳領域検体より分離した20株(耳漏19株/耳管内容物1株)および2017年に犬の眼領域検体より分離した13株(角膜6株/結膜4株/眼脂3株)を対照群とした比較解析を行った。その結果、対照群と比較して、2021年に眼領域検体より分離した犬レンサ球菌株では、疫学分子マーカーとなるclonal complex 46に属する株が有意に多く、各種抗菌薬(minocycline/erythromycin/azithromycin/clindamycin/levofloxacin)への耐性や抗菌薬耐性遺伝子を保持する株が有意に多いといった知見が確認された。今後、抗菌薬耐性に関わる転写物解析を実施展開する上で重要な成果となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
犬レンサ球菌を用いた人皮膚角質細胞内への侵入⇒生存に関わる発現増強/発現減弱したRNA配列を網羅的に探索できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、抗菌薬耐性に関わる転写物解析を実施展開する予定である。
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