研究課題
1.犬レンサ球菌が有する病原因子としてM-like protein(SCM)がある。同ゲノム配列上、SCM遺伝子座の上流に病原性調節因子であるM protein trans-acting positive regulator(Mga)遺伝子座が隣接する。Mga遺伝子座増幅・塩基配列決定により39株におけるMgaアミノ酸配列を推定し、ゲノム配列が決定している22株におけるMgaアミノ酸配列も抽出した。基準株が有するMgaアミノ酸配列との類似率・サイズを比較し、アミノ酸509個において96.66%~100%類似率を認めた。さらに、Mgaの機能に関わる3種アミノ酸モチーフを有している点も確認できた。SCMアミノ酸配列の多様性と共に、Mgaアミノ酸配列は類似性を提示することから、SCM転写を制御し得るオペロンとなるMgaの存在が示唆された。検索した限り、本菌のMgaアミノ酸配列解析は新知見となる。2.犬深部膿皮症由来犬レンサ球菌においてペニシリンG感受性が減弱した株が報告された。本研究では、2015年/2017年/2021年収集株において微量液体希釈法によるペニシリンG最小発育阻止濃度(MIC)の上昇を認めた7株を選び、寒天平板希釈法によるMICを測定すると共に、全ゲノム配列決定へ供した。寒天平板希釈法上、基準株のMICが≦0.03 mg/Lを示す一方、7株中5株のMICが0.125 mg/Lを示した。ゲノム配列上、ペニシリン結合タンパク質(PBPs)におけるアミノ酸置換の有無を解析した結果、PBP2Xのトランスペプチダーゼ領域における活性保存モチーフのモザイク変異を認めた。同モザイク変異はアモキシリン低感受性を示す肺炎球菌にて報告されており、本菌におけるペニシリンG低感受性とPBP2Xトランスペプチダーゼにおける活性保存モチーフのモザイク変異との関連性が示唆された。
2023年8月4日、受賞致しました。受賞名:第11回感染制御学大学院協議会研究会研究奨励賞 演題名:2021年眼科領域(角膜を含む)由来Streptococcus canisにおける特性:抗菌薬耐性・clonal complexとの連関 受賞者名:栗田吾郎, 露木勇三, 柴田祥子, 後藤美江子, 前田貴広, 吉田春乃, 高橋 孝
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Medical Practice
巻: 40 ページ: 1779
https://www.kitasato-u.ac.jp/lisci/life/chart/LSI-lab15.html