研究実績の概要 |
本研究の目的は、爪と血液細胞においてB型肝炎ウイルス(HBV)及びヒトヘルペスウイルス科ウイルスのヒトゲノムへのintegrationの有無を明らかにすることである。HBVキャリアを対象として、rea-time PCR, target-capture次世代シークエンス、サンガーシークエンスを実施し、爪と血液細胞におけるウイルスのintegration siteの同定を試みた。HBVキャリア60人(年齢::median 15歳、HBeAg陽性:47人)から爪を採取した。爪細胞においてPCR法にてHBV DNAは37人(61.7%)から検出された(Nail HBV DNA levels: median 4.3 Log copies/mL)。さらに、ヘルペス科ウイルスに属する①HSV-1,②HSV-2,③VZV, ④EBV,⑤CMV,⑥HHV-6,⑦HHV-7の7種類のウイルスDNAをPCR法にて測定し、HHV-7 DNAのみが3人(5.0%)から検出された(HHV-7 DNA level: median 2.8 Log copies/mL)。次に、ウイルスゲノムのintegrationの有無を調べるためHBV DNA陽性かつHHV-7DNA陽性の血液細胞と爪細胞を用いて、target-capture 次世代シークエンシングを行った。次世代シークエンシングでは血液及び爪において、HBVとHHV-7のintegration siteを検出することができた。しかし、サンガーシークエンスでintegration siteを再確認できたのは、血液細胞におけるHBVのintegration siteのみであった。【結論】血液細胞へのHBVのintegrationは確認できたが、血液細胞へのHHV-7と爪細胞へのウイルスゲノムのintegrationは確認することができなかった。
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