研究課題
微小代謝環境に着目した慢性炎症の分子機構の解明を目的として,本年度,以下の検討を行った。1)マクロファージ貪食能,融合能の制御機構解明アポトーシス細胞を用いた死細胞貪食実験を行い,貪食マクロファージと非貪食マクロファージの遺伝子発現変化を検討したところ,貪食マクロファージは経時的に極性が変化する可能性が示唆された。即ち,貪食直後は炎症性の形質を呈し,経時的に抗炎症性の形質を獲得する可能性が示唆された。しかしながら,1細胞を追って検討している訳ではなく,さらに,死細胞の細胞死様式の違いについて検討できていないため,アポトーシス細胞,ネクローシス細胞に加え,フェロトーシス細胞,ネクロプトーシス細胞などを使用し,今後,詳細に検討する予定である。2)肥満の脂肪組織におけるCLS形成と炎症波及効果の分子機構解明マクロファージに発現する免疫シグナル伝達分子Xに着目して,Xが脂肪組織炎症や肝臓の炎症に及ぼす影響を検討した。骨髄移植法にて,骨髄細胞特異的X欠損マウスを作成し,高脂肪食飼育により肥満を誘導したところ,対照マウスに比較して,骨髄細胞特異的X欠損マウスでは,CLS(crown-like structure)の数が著減し,脂肪組織炎症・線維化の減弱が認められた。一方,対照マウスに比較して,骨髄細胞特異的X欠損マウスでは,肝臓における炎症・線維化が増悪した。今後,臓器間におけるXの役割の違いについて,詳細を検討する。
2: おおむね順調に進展している
肥満マウスの作成に時間がかかっているが,その他は概ね順調に進展している。
マクロファージ以外の細胞の貪食能にも着目している。実質細胞の貪食能なども検討し,大きな視点で,今後,研究を進めていきたい。
マイクロアレイ解析を予定していたが,実施できなかったため,次年度使用額が生じた。また,参加を予定していた学会がオンライン開催となり,旅費の使用がなかった。(使用計画)マイクロアレイ解析に,当該年度に生じた次年度使用額を充てる予定である。また,オンサイト開催の学会に積極的に参加し,情報収集を行う。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
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