研究実績の概要 |
糖尿病を発症するマウス(Nagoya-Shibata-Yasuda mouse:NSY)の糖尿病感受性遺伝子を有する染色体を、非糖尿病マウス(C3H)へ導入した系統であるコンソミックマウス/コンジェニックマウスの作製により、糖尿病および糖尿病関連形質の疾患感受性領域を特定の染色体/領域に絞り込んできた(Kobayashi M, Babaya N, et al., BMC Genet 2020、Babaya N et al., Int J Endocrinol 2018、Babaya N et al., BMC Genet 2014、Babaya N et al., J Diabetes Res 2013、Babaya N et al., Diabetologia 2010 など)。今年度は、新たなQTLマッピングの手法(R/QTL)を用い、これまでの研究よりもさらに多くのマウスを用いてQTLマッピングの再解析を行った。この結果、新たな糖尿病感受性遺伝子座(Nidd5nsy, Nidd6nsy, Nidd1c3h, Nidd2c3h)を見出した。Nidd5nsyとNidd6nsyは、NSY由来の染色体を有すると耐糖能が悪化するのに対し、Nidd1c3hとNidd2c3hは、C3H由来の染色体を有すると耐糖能が悪化した。また、新たに見出したNidd5nsyを保有する1番染色体コンジェニック系統の表現型解析の結果を、QTLマッピングの解析と合わせて報告した(Babaya N, et al., Sci Rep, 2023;13(1):1315)。 ヒトにおいては糖尿病患者の表現型パネル作成を行っているが、1型糖尿病におけるβ細胞破壊メカニズムに関する血中代謝マーカーの検討を行い報告した(Noso S, Babaya N et al., J Diabetes Investig 2023;14(1):48)。また、膵頭十二指腸切除術後の糖尿病発症率の解析を行い、その発症危険因子の解析を行い報告した(Niwano F, Babaya N, et al., J Clin Endocrinol Metab 2022;107(12):3362)。
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