研究課題
本研究の目的は、SGLT2阻害薬による長期の体内エネルギー利用制限効果が加齢現象に及ぼす影響を明らかにし、そこに寄与する分子機構について詳細解明を行うことにある。R3年度の実験計画としては(1)若年期より1年間のPair feedingを行ったマウスのサンプリングを行っている。非常に興味深い事に血中のMDA濃度はSGLT2阻害薬投与群で有意に低下しており、寿命延長の作用機序の一部を説明しうるものと考えられた。サンプリングした骨格筋をRNA-seqを行い、骨格筋における老化現象を説明しうる分子機構を解明しようとしたが、RNA-seqでは明らかに有意な遺伝子発現変化を認めなかった。今後は各種臓器の蛋白レベルでの評価を行っていく。(2)中、壮年期からPair feedingを行い、SGLT2阻害薬が寿命延長に寄与するかの検討を行う為、マウスに1年間高脂肪食を与えて、その後Pair feedingによるSLGT2阻害薬投与を開始している。こちらは寿命を見るために侵襲を加えない群と、さらに1年後に解剖する群とですでにともにPair feedingを開始しており、今後生存曲線、および寿命延長効果があるとするなら、そのメカニズム解明のための準備が滞りなく進捗している。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定として、若年期介入のサンプリングはすでに行っており、血中MDAがSGLT2阻害薬投与群で低下しているという新しい知見を得ており、今後もさらなるデータ解析を行っている段階である。また、中、壮年期からの介入のマウスも1年間の高脂肪食負荷を終了し、Pair feedingによるSGLT2阻害薬投与を開始しており、SGLT2阻害薬が中・壮年期から投与しても寿命延長効果があるのかという検証は順調にすすんでいると考えられる。
今後は(1)若年期からの介入により寿命が延長するメカニズムをさらに検討する。具体的には、肝臓、脂肪組織などにも着目し、蛋白発現、リン酸化などの評価を行っていく。(2)中・壮年期からの介入に関しては、まず寿命が延長するのかどうなのかを明らかにする。寿命延長効果があるとするならば、現在同時進行でPair feedingを行っているPair feedingを1年継続したマウスを解剖することにより、そのメカニズムをより明確にする。
購入した物品が当初予定していた額より安価で抑えられた為、次年度使用額が生じたが、ほぼ予定通りの使用金額である。今後Western blotまたは免疫染色用の抗体購入費などに使用していく予定である。
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