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2023 年度 実施状況報告書

膵β細胞イメージング法を用いた糖尿病病態の解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K08553
研究機関京都大学

研究代表者

藤本 裕之  京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (50437274)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード膵β細胞イメージング / 糖尿病 / 膵β細胞量 / 膵島移植
研究実績の概要

本研究は、GLP-1受容体に特異的に結合するExendinを骨格とする放射性同位元素標識プローブを用いた膵β細胞イメージング法により膵β細胞の定量評価を行うことで、糖尿病の発症過程における膵β細胞量と血糖値などの診断指標との関係を明らかにするとともに、本イメージング手法を用いて新規開発糖尿病治療薬に関してその有効性評価を膵β細胞量の視点から検討することである。昨年度は、ミトコンドリア機能改善薬であるimegliminの糖尿病治療効果について膵β細胞量の観点から評価し、学会や論文にて報告した。本年度は、糖尿病の発症過程における膵β細胞量と血糖値などの診断指標との関係を評価するため、中程度の脂肪食で緩やかに糖尿病状態になるモデルマウスを用いて検討を行った。11%脂肪食負荷を行い、経時的な体重、随時血糖値、経口グルコース負荷試験(OGTT)による耐糖能の評価を行った。また、In-111標識exendinプローブを用いたSPECTイメージングを行う週齢と同じタイミングで膵臓の摘出を行い、病理的に膵β細胞量を評価した。具体的には、病理による膵β細胞量評価における一般的手法である、膵切片をインスリンの免疫染色を行い、膵面積におけるインスリン陽性部分の面積比から算出する手法を用いて評価をおこなった。この病理評価及びSPECTイメージングから得られた画像から膵β細胞量、それぞれから糖尿病発症過程における膵β細胞量の変化を評価する予定で進めていたが、SPECTイメージングに必要な小動物用分子イメージング装置の故障により一時的に研究の進行を保留することとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

分子イメージング装置の故障のため一時的に研究が滞っているため。

今後の研究の推進方策

小動物用分子イメージング装置の修理が終わり次第、非侵襲的な膵β細胞イメージング技術を用いて糖尿病の進行過程を各種指標とともに評価する研究を再開する。具体的には、本年度実施した実験系と同様のモデルマウスに対して11%脂肪食負荷を行い、緩やかに糖尿病状態に変化させる。緩やかに状態が変化することで、放射性同位元素、特に今回用いるIn-111(半減期:2.8日)の物理的半減期・生物学的半減期を加味した実験系を無理なく組み立てることができる。つまり、SPECT撮像を行う際に、前回撮像の際に用いた標識プローブが十分に代謝および減衰することで次回の撮像で結果に影響を与えない間隔を考慮し実験を行い、評価することができる。ストレプトドトシンなどの薬剤で糖尿病状態にする場合においては急激に状態が変化し、糖尿病の発症前後での評価のみを行う場合には効果的であるが、その過程を追うには適切ではないため緩やかな状態変化が必要である。
今後の研究の推進方策としては、残った評価系であるIn-111標識exendinを用いた膵β細胞のSPECTイメージング法から膵β細胞量を経時的に評価する予定である。得られた膵β細胞量と、随時血糖値、体重、耐糖能など各種指標との相関を評価し、糖尿病状態の進行過程における膵β細胞量の変化について検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、本研究推進に不可欠である小動物用分子イメージング装置の故障のため、本研究の推進が一時的に困難になったためである。本研究において放射性同位元素標識プローブを用いたSPECTイメージングは重要なツールである。本年度中に修理が完了するため、完了し次第研究を再開する。そのため、再開後の実験に必要となる消耗品などの費用について次年度への繰り越しを行った。
次年度の使用計画は、上記実験とくに非侵襲的膵β細胞評価を用いた経時的な膵β細胞量の評価の再開のため、以下のように使用する予定である。
動物実験:糖尿病モデル動物の作製に必要な特殊試料および飼養にかかる費用。放射性同位元素標識プローブ:In-111(塩化インジウム)、exendin誘導体、標識に必要な試薬および消耗品。放射性同位元素使用実験にかかる費用:分子イメージング装置使用料など。放射性廃棄物処理費用:放射性同位元素プローブ作製時に生じた放射性廃棄物、放射性同位元素標識プローブ投与動物。論文投稿にかかる費用:英文校正、投稿料など

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Noninvasive evaluation of donor and native pancreases following simultaneous pancreas?kidney transplantation using positron emission tomography/computed tomography2023

    • 著者名/発表者名
      Murakami Takaaki、Nakamura Toshihiro、Fujimoto Hiroyuki、Fujikura Junji、Shimizu Yoichi、Miyake Kanae K.、Otani Daisuke、Sakaki Kentaro、Kiyobayashi Sakura、Anazawa Takayuki、Nakamoto Yuji、Inagaki Nobuya
    • 雑誌名

      Journal of Diabetes Investigation

      巻: 14 ページ: 1187~1191

    • DOI

      10.1111/jdi.14045

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 18F-labeled PEGylated exendin-4 imaging noninvasively differentiates insulinoma from an accessory spleen: the first case report of [18F]FB(ePEG12)12-exendin-4 positron emission tomography/computed tomography for insulinoma2023

    • 著者名/発表者名
      Sakaki Kentaro、Murakami Takaaki、Fujimoto Hiroyuki、Shimizu Yoichi、Miyake Kanae Kawai、Otani Daisuke、Kiyobayashi Sakura、Okada Takuya、Fujimoto Masakazu、Hakata Takuro、Yamauchi Ichiro、Shimada Kotaro、Shimizu Hironori、Nagai Kazuyuki、Nakamoto Yuji、Inagaki Nobuya
    • 雑誌名

      Frontiers in Endocrinology

      巻: 14 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fendo.2023.1245573

    • 査読あり
  • [学会発表] ミトコンドリアを介したイメグリミンの膵β細胞量保護効果の検討2023

    • 著者名/発表者名
      大谷 大輔、村上 隆亮、Muhammad Fauzi、藤本 裕之、Ainur Botagrova、榊 健太郎、許林 櫻華、小倉 雅仁、稲垣 暢也
    • 学会等名
      第 66 回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] Noninvasive quantitative evaluation of viable grafts in intraportal islet transplantation using 111In-exendin-4 SPECT/CT2023

    • 著者名/発表者名
      Botagarova Ainur、Murakami Takaaki、Fujimoto Hiroyuki、Fauzi Muhammad、Kiyobayashi Sakura、Otani Daisuke、Fujimoto Nanae、Inagaki Nobuya
    • 学会等名
      第 66 回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] インスリノーマに対するGLP-1受容体標的新規PETイメージング法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      榊 健太郎、村上 隆亮、藤本 裕之、山内 一郎、志水 陽一、三宅 可奈江、大谷 大輔、許林 櫻華、藤本 正数、長井 和之、中本 裕士、稲垣 暢也
    • 学会等名
      第96回日本内分泌学会学術総会
  • [学会発表] [18F]FB(ePEG12)12-Exendin-4 PET/CTで描出されたインスリノーマの1例2023

    • 著者名/発表者名
      榊 健太郎、村上 隆亮、藤本 裕之、山内 一郎、志水 陽一、三宅 可奈江、大谷 大輔、許林 櫻華、藤本 正数、長井 和之、中本 裕士、稲垣 暢也
    • 学会等名
      第 66 回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] 非侵襲的インスリノーマイメージング法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      藤本裕之 長井和之 波多野悦朗 村上隆亮
    • 学会等名
      第54回日本膵臓学会大会
  • [学会発表] Simultaneous evaluation of islet graft and pancreas beta cell mass following intraportal transplantation from the perspective of 111In-exendin-4 SPECT/CT2023

    • 著者名/発表者名
      Botagarova Ainur、Murakami Takaaki、Fujimoto Hiroyuki、Fauzi Muhammad、Kiyobayashi Sakura、Otani Daisuke、Fujimoto Nanae、Inagaki Nobuya
    • 学会等名
      59th EASD Annual Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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