研究課題
本研究では、ヒトiPS細胞と腫瘍免疫の技術を応用することにより、アンメット・メディカル・ニーズの高い自己免疫性下垂体疾患の病態解明のための疾患モデルを樹立し、原因となる普遍的メカニズムを見出すことで、新たな診断法および治療法の開発につなげることを目的とする。これまでの研究で、患者由来iPS細胞(AP01株)から下垂体組織を作成した。さらに、患者由来の抗原特異的キラーT細胞の作成をおこない、IFN-γ ELISpot解析により抗原特異的反応性を確認し、FACS・セルソーターを用いて、T細胞の活性化および細胞傷害指標であるCD137(4-1BB)およびCD107aをマーカーとしてクローン化を行った。本年度は、in vitro 再構成疾患モデルの樹立と病態解析を行った。作成した患者由来iPS細胞からの下垂体組織とクローン化した患者由来抗原特異的キラーT細胞を共培養することにより、自己免疫疾患(抗PIT-1下垂体炎)のin vitro 疾患モデルを樹立することに成功した。作成したin vitro再構成モデルにおいて、特異的細胞に対するキラーT細胞の自己免疫機序を、正常者から作成したモデルと比較した。それぞれをGeneChip遺伝子発現プロファイルによる網羅的発現解析を行い、発症メカニズムに関わる新規候補分子を同定した。新規候補分子の機能解析として、マーカー染色FCMおよびクロム放出アッセイを用いて特異的細胞傷害への関与を明らかにした。リビングイメージによる細胞傷害プロセスを可視化した。共培養実験系を用いた創薬シーズ候補のスクリーニングとして、候補薬剤であるシクロスポリンA、デキサメサゾン、HLAclass I抗体等をin vitro再構成モデルに添加する事により、自己免疫性下垂体疾患の細胞傷害抑制に繋がる薬剤を絞り込んだ。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (7件)
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