研究課題/領域番号 |
21K08564
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長谷川 奉延 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (20189533)
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研究分担者 |
石井 智弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70265867)
鳴海 覚志 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 室長 (40365317)
高田 修治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 部長 (20382856)
天野 直子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70348689)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | MIRAGE症候群 / SAMD9 / 遺伝子改変マウス / 副腎 |
研究実績の概要 |
内因性Sf1プロモーター・エンハンサーによりCreリコンビナーゼを発現するマウス(以下Sf1 promoter Creマウス)を九州大学から譲り受けた。Sf1 promoter Creマウスは、マウスSf1遺伝子の5'領域106kb - Creリコンビナーゼ遺伝子- Sf1遺伝子の3’領域100kbを有し、Sf1プロモーターおよび副腎特異的エンハンサーにより副腎皮質にCreリコンビナーゼが強発現する。我々は既に、Creリコンビナーゼにより、ヒト野生型SAMD9遺伝子を発現するマウス(SAMD9-WTマウス)、およびMIRAGE症候群で認めたヒトSAMD9点変異p.R1293Wを発現するマウス(SAMD9-MTマウス)を作成した(平成30年―令和2年度(基盤研究(C)(2))研究課題番号 18K08527))。今回、SAMD9-WTマウスあるいはSAMD9-MTマウスとSf1 promoter Creマウスを掛け合わせ、胎児期から野生型SAMD9あるいは変異型SAMD9を副腎に強発現する遺伝子改変マウス(それぞれSAMD9-WT副腎発現マウス、およびSAMD9-MT副腎発現マウス)を作成した。SAMD9-WT副腎発現マウス20匹全例は4週齢まで生存し、現在さらに飼育継続中である。一方SAMD9-MT副腎発現マウス9匹のうち6匹は日齢0-1に死亡した。生存中の雌2匹は成獣となり、妊孕性を保持していた。生存中の雄1匹は現在5週齢であるが、同年齢のSAMD9-WT副腎発現マウスに比し、明らかな体重増加不良を示した。日齢0-1に死亡したSAMD9-MT副腎発現マウス3匹の副腎を含む諸臓器をホルマリン固定して保存した。血中ナトリウム、カリウム、糖、ACTH、コルチコステロン測定用にSAMD9-WT副腎発現マウス3匹およびSAMD9-MT副腎発現マウス1匹の血清を保存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該施設の動物飼育舎は令和3年度に全面的な改築を開始し、令和3年10月22日から、すべてのマウスを「一時マウス飼育室」に移動の上、飼育することとなった。「一時マウス飼育室」の狭さから、1人の研究者に許可されるマウスケージ数は厳格に制限された。この結果、SAMD9-WT副腎発現マウスおよびSAMD9-MT副腎発現マウスともに当初の予定の1/3未満しか飼育できなかった。十分な数のマウスを確保できなかったため、縦断的生存率の検討、死亡したマウスの副腎をはじめとする諸臓器の病理学的検討、生存中マウスの安楽死・解剖による諸臓器の組織学的検討、生存マウスからの血中ナトリウム、カリウム、糖、ACTH、コルチコステロン測定用採血、すべてが当初の予定よりもやや遅れざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、医学系博士課程大学院生1名が本研究を分担することとした。令和3年度中に本大学院生に、マウスの飼育、安楽死、体長・体重測定、解剖による諸臓器の摘出、外眼角からの採血、などを指導済である。 第2に当該施設の動物飼育舎は令和4年5月中旬までに改築を終える予定である。その後は当初に予定していた数のマウスを飼育することが可能である。 以上2点により、SAMD9-WT副腎発現マウスおよびSAMD9-MT副腎発現マウスの縦断的生存率の検討、死亡したマウスの副腎をはじめとする諸臓器の病理学的検討(本年度は主に光学顕微鏡による検討)、生存マウスから得た血液を用いた、ナトリウム、カリウム、糖、ACTH、コルチコステロンの測定を推進する。
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