研究課題/領域番号 |
21K08565
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
李 賢哲 順天堂大学, 医学部, 助教 (30758321)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | DHA / PUFA / 後期エンドソーム / BMP |
研究実績の概要 |
ドコサヘキサエン酸(DHA)は魚に多く含まれるオメガ3系の高度不飽和脂肪酸(PolyUnsaturated Fatty Acid;PUFA)であり、これまでにDHAを特定の生体膜脂質へ導入する経路に関わる酵素を複数同定している。今年度は、我々が着目しているこれらの酵素について、生体膜におけるPUFAの存在量との関係性について調べた。最近我々は、PUFAの生合成を担う酵素である脂肪酸不飽和化酵素の欠損マウスを独自に樹立し、これらにPUFAを餌に含まない精製飼料を与えることでPUFA欠乏を誘導するモデルを確立した(FEBS Letters 595 (2021) 1920-1932、および学術誌に投稿中)。また、これらのPUFA合成に関わる生合成酵素群が精巣ライディッヒ細胞を含むステロイドホルモン産生細胞・臓器に高発現することも見出していた。そこで、PUFA欠乏時のステロイドホルモン産生細胞・臓器におけるDHA関連酵素の発現を調べた。その結果、PUFAを含まない餌を2ヶ月食べさせてPUFA欠乏を誘導したこれらの細胞・臓器において、これらDHA関連酵素群の発現が著しく上昇することが確認された。このことは、DHAが少ない環境下において、これらのPUFA関連酵素群の発現を司る未知の遺伝子発現制御機構が存在することが示唆している。今後はこれらの酵素群の遺伝子発現制御機構の解明も視野に入れつつ、DHAが特定の脂質クラスに取り込まれる生理的意義の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PUFA欠乏下における発現上昇など、想定していなかった思いがけない発見があり、DHA関連酵素群の生理的意義に迫る新たな手がかりを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初から予定していた酸化ストレスとの関連についての実験を進めるとともに、PUFA欠乏時における遺伝子発現制御機構についても実験をしていくことで、DHA関連酵素群の生理的意義を包括的に解明することに挑む。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度中に発見した遺伝子発現機構をより網羅的に調べる目的でRNAseqなどのトランスクリプトーム解析を次年度に行う予定である。外注で行うため、費用がかかる見込みであり、次年度に一定の金額を持ち越した。
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