研究課題/領域番号 |
21K08566
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山崎 修 帝京大学, 医学部, 講師 (80757229)
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研究分担者 |
柴田 茂 帝京大学, 医学部, 教授 (60508068)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ナトリウム輸送 / 尿細管 / 高血圧 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
研究実績の概要として、腎臓の近位尿細管における主要な血圧制御トランスポーターの1つである、ナトリウム重炭酸共輸送体(Na-HCO3 cotransporter: NBCe1)の機能解析を行った。 本トランスポーターはナトリウム輸送を介して血圧を制御するのみならず、重炭酸を制御しており、近位尿細管性アシドーシスを引き起こす。さらには、糖尿病状態において、輸送活性が変化する特質が知られている。(Kidney Int. 2015 Mar;87(3):535-42.) そのため、NBCe1の腎特異的ヴァリアント(NBCe1-A)に焦点を当てた。 NCBIのデータベースから取得したNBCe1-Aのアミノ酸変異体(single nucleotide variant:SNV) のうち、膜発現を欠如するタイプに焦点を当て探索したところ、I551F variantを同定した。 このI551F variantは、HEK293細胞およびMDCK細胞における膜発現量の低下を来すのみならず、アフリカツメカエル卵母細胞発現系を用いたtwo-electrode voltage clamp法による機能活性測定においても、おおよそ野生型の30%の活性しか有していないことが明らかとなった。さらに、野生型とI551F variantをHEK293細胞に共発現させたところ、野生型の膜発現が阻害されて細胞質内にとどまる現象が確認できた。そのため、NBCe1-A I551F variantはdominant negative作用を持ち、野生型の発現形式に障害を与えるメカニズムが推定された。 以上の知見をもとに投稿を行い、アメリカ生理学会誌(腎生理部門)に採択された。Am J Physiol Renal Physiol. 2021 Dec 1;321(6):F771-F784.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NBCe1-Aに焦点を当てた研究を行い、採択された。 今後、他部位のNBCe1-A variantの検索を行うのみならず、他のナトリウム輸送体においても探索を加える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、NBCe1-A variantについては、候補の絞り込みがおおよそ終了しており、発現量解析・機能解析を予定している。 また、高血圧モデルマウスを用いて他のナトリウム輸送体を検索しており、in vivoにおける生活習慣病の変化を探索予定である。 高血圧モデルマウスにおいては、Alzet浸透圧ポンプを用いた、昇圧ホルモンアルドステロンの持続投与モデルをすでに本研究室で確立している。同マウスは、生活習慣病(カロリー負荷・脂肪質負荷)などのモデルに応用できるため、同マウスを用いたナトリウム輸送体の発現量をウエスタンブロット法で検索する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
継続研究として、現在の研究が順調に進捗している。 使用額を次年度に使用許可いただくことで、さらなる研究の推進を行いたい。
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