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2022 年度 実施状況報告書

腎尿細管ナトリウム輸送体が及ぼす糖尿病と高血圧の相互増悪機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K08566
研究機関帝京大学

研究代表者

山崎 修  帝京大学, 医学部, 准教授 (80757229)

研究分担者 柴田 茂  帝京大学, 医学部, 教授 (60508068)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードナトリウム輸送 / 尿細管 / 高血圧 / 糖尿病
研究実績の概要

2021年度研究実績の概要として、腎臓の近位尿細管における主要な血圧制御トランスポーターの1つである、ナトリウム重炭酸共輸送体(Na-HCO3 cotransporter: NBCe1)の機能解析を行った。NBCe1-A I551F variantはdominant negative作用を持ち、野生型の発現形式に障害を与えるメカニズムが推定された。以上の知見をもとに投稿を行い、アメリカ生理学会誌(腎生理部門)に採択された。Am J Physiol Renal Physiol. 2021 Dec ;321(6):F771-F784.
2022年度は、本研究結果をもとにして、以下の2つの系に焦点を当てて実験を行った。
①in vivo実験:マウス腎臓の各尿細管領域におけるナトリウムを中心とする輸送体の量的変化を確認することとした。候補となる主要な電解質輸送体をNBCe1, NKCC2, NCC, ENaC, Pendrin, NHE3と設定し、マウスにおける負荷モデルを用いて検索することとした。当初の糖尿病を想定したモデルに比し、ナトリウム過負荷モデルがより変化が生じやすいという仮説を立て、アルドステロン負荷モデルに変更することで、検討を加えた。その結果、アルドステロン負荷モデルにおいて、NKCC2, NCCの発現量が変化した。
②in vitro実験:NBCe1の機能解析で論文化ができたため、更に同輸送体の変異体群を検索することとした。ヒトでの変異体報告があるR881C変異体の部位に新規variantが発見されたため、同variantの特性を確認したところ、蛋白発現量の著明な低下・蛋白質量の低下・細胞膜発現の欠如 といった所見が得られた。特に共免疫沈降法実験ではR881Cで観察できたinteractionが同variantで欠如しており、新規病態機序が根底にあるものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

高血圧モデルでの結果が得られたことは進捗に値する結果と考える。しかし申請時に計画していた糖尿病モデルについてはこれからの検討となるため、「やや遅れている」に該当すると考える。
一方で、ナトリウム輸送体の一つであるNBCe1に焦点を当てることで、期間内に論文化することができたことについては、副次的とは言え、より進捗できたと考える。また、論文化したI551F変異体のみならず、新規R881変異体においても論文化できるだけの十分な進捗状況が得られた点については特筆すべき案件と考える。

今後の研究の推進方策

①in vivoモデルについて:高血圧モデルでの一定の結果が得られたことから、糖尿病モデルに着手する事、また高血圧+糖尿病モデル といったモデルでの研究推進ができると考えられる。
②in vitroモデルについて
今回のターゲットの一つであるナトリウム輸送体のNBCe1の論文化が2021年に得られたことで、さらなる推進を図りたいと思う。新規R881変異体においても論文化できるだけの十分な進捗状況が得られた点については特筆すべき案件と考える。
R881変異体については機能活性法を行えば論文化できるところまで進捗している。
NBCe1は申請者の過去の研究で、糖尿病存在下では、不適切に機能が活性化することが知られており、今回の研究機関内に得られた変異体群と糖尿病との関連を調べることで、新たな知見が得られる可能性が高いと考える。

次年度使用額が生じた理由

前年度に使用した経費については、有効に活用したが、一部消耗品を購入した際に端数が出たことにより、次年度使用額が生じた。
今年度は、前年度残額経費も含めて有効に活用し、さらなる研究推進につなげたいと思う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 近位尿細管ナトリウム輸送体NBCe1の新規変異体R881Sの機能的解析2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤 陽菜、山崎 修、藤井 航、古川 泰司、上妻 謙、藤垣 嘉秀、柴田 茂
    • 学会等名
      第66回日本腎臓学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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