研究課題/領域番号 |
21K08567
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 准教授 (90460849)
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研究分担者 |
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
廣峰 義久 近畿大学, 医学部, 講師 (30460851)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 1型糖尿病 / 遺伝子解析 / 次世代シーケンス / 濃厚発症家系 |
研究実績の概要 |
本研究は1型糖尿病の濃厚発症家系を対象とした責任遺伝子変異の解明を目的としている。我が国における1型糖尿病の有病率は欧米に比べて低いため、濃厚発症家系の集積は容易ではないが、本研究申請時以降も新規4家系13名の検体を上乗せすることに成功し、合計で13家系54名(罹患者35名、非罹患者19名)について、既に全エクソームシーケンス作業は完了している。本研究の解析対象者を選別する際に、糖尿病の病型診断として確実な1型糖尿病に限定して効率的に解析を進める必要がある。この目的のためには、高額な次世代シーケンス工程に入る前に、HLA遺伝子型タイピングをおこない、1型糖尿病の疾患感受性ハプロタイプを有することを確認するスクリーニング工程が非常に有効な手段であると考えられる。確実な1型糖尿病を選別するため、多数検体に対するHLAタイピングが必要であるが、不確実な病型診断を回避することにより、さらに高額な次世代シーケンス行程を必要かつ最小限に抑制するに足る十分な効果があった。また、独立基盤形成支援にともなう交付決定後増額を得たことにより各家系の発端者に対して全ゲノムシーケンス(WGS)を実施することができ、全エクソームシーケンス(WES)だけでは検出し得ない、染色体上の大きな構造変異の探索の探索やミスアライメントの検証など変異解析の精度を飛躍的に向上させることができた。 また次世代シーケンス解析によって同定された遺伝子変異が、技術的に生じるノイズではなく、実際に遺伝子配列の変異があることを検証するため、Taqman法を用いて遺伝子型を決定することにより、次世代シーケンスの結果を随時検証した。 上記の結果を、18th Immunology of Diabetes Society Congress(2021.11.2. Virtual conference)にて発表し、現在論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において申請時よりも多くの検体集積に成功し、独立基盤形成支援による交付決定後増額により全エクソームシーケンス・全ゲノムシーケンス作業も予定通り完了しているため
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今後の研究の推進方策 |
現在得られた膨大な遺伝情報から、強い機能障害を伴う稀な変異(Rare variant)の選別作業をおこなっており、継続して解析をおこなう。また健常人にも存在するありふれた変異(Common variant)を利用して、連鎖解析をおこなうことにより1型糖尿病の発症に関わる染色体領域を限定する作業もおこなっており、その成果を英文誌に発表すべく準備中である。さらに今後も濃厚発症家系の集積が進めば、順次全エクソームシーケンスをおこない新規変異の関与を解析していく。
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