研究課題
基盤研究(C)
周産期甲状腺機能低下症によって誘発される小脳の発達障害が、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)3の阻害剤によって改善されるか検討した。甲状腺機能低下症マウスに対する阻害剤投与は、小脳の形態学的異常と運動協調障害を軽減した。さらに、小脳甲状腺ホルモン応答遺伝子のmRNAレベルとヒストンアセチル化レベルが上昇した。これらの結果は、HDAC3が周産期甲状腺機能低下症による小脳発達障害に重要な役割を果たしていることを示している。
内分泌代謝分野
本研究の結果より、周産期甲状腺機能低下症において、HDAC3が甲状腺ホルモン応答遺伝子のヒストンを脱アセチル化して転写を抑制することにより小脳発達障害に重要な役割を果たしているという病態が明らかになった。そのため、HDAC3阻害剤は、甲状腺ホルモン応答遺伝子のヒストンをアセチル化と転写を刺激することにより、甲状腺機能低下症に起因する小脳障害に対する新規治療薬として応用できる可能性があると考えられる。