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2021 年度 実施状況報告書

褐色脂肪細胞が分泌する新規BATokine-骨格筋ブドウ糖取込促進因子-の同定

研究課題

研究課題/領域番号 21K08571
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

佐伯 久美子  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (80322717)

研究分担者 西尾 美和子  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30623318)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードBATokine / skeletal muscle cells / glucose uptake / HPLC / human ES cells
研究実績の概要

超高齢化社会を迎えた我が国において加齢依存性疾患の治療開発は重要性な課題である。中でも骨格筋の減少・萎縮によるサルコペニアはそれ自体がADL低下の原因なるだけでなく、転倒に伴う骨折・臥床によりさらなるADL低下をもたらすため予防と治療開発は急務である。サルコペニアは、骨格筋の中でも白筋の萎縮が主たる病態であるため、骨格筋のブドウ糖取り込みを促進する因子の発見は、サルコペニアの予防・治療のための新しいツールを提供するとことが期待される。本研究では、褐色脂肪細胞が分泌する生理活性因子BATokineの1つとして、先行研究でヒト多能性幹細胞由来褐色脂肪細胞の培養上清中にその存在を見出している「骨格筋ブドウ糖取込み促進因子」を同定する。具体的には、京都大学で樹立されたヒトES細胞、および研究代表者が樹立したヒトiPS細胞を用いて、研究代表者が開発した技術(特許5998405)で作製したヒト多能性幹細胞由来褐色脂肪細胞(ヒトBA)を材料として、研究代表者が開発した技術(WO2020036184A1)を駆使して同因子の構造を同定する。当該因子の活性は、マウスC2C12細胞由来骨格筋細胞およびヒト骨格筋細胞(市販の骨格筋芽細胞より分化誘導)の両者を用いて、Glucose Uptake Assay Kit-Green (同仁化学研究所)およびGlucose Uptake-Glo Assay (プロメガ 社)を活用して定量的に評価する。2022年度の研究では、大量調製したヒトBAの培養上清(BA-SUP)を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で細分画化し、質量分析機を用いた構造解析に十分量の活性画分を得ることを計画した。COVID-19への対応からBA-SUP大量調製は当初計画よりも遅れているが、現在、大量調製のための作業を鋭意進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19対応のため担当学生が実験に参加できない状況が続いたため、BA-SUPの大量調製に遅れが生じている。そこで本年度は、従来の方法よりも少ない量のBA-SUPでも分子構造同定に有用な情報を提供できる方法があるかについても検討した。すなわち、HPLCを使わずに目的因子を濃縮(純化)する方法が見つかればより少ない量のBA-SUPでも目的因子の構造同定が達成される可能性がある。例えば、BA-SUP中の蛋白をビオチン化した際に目的因子の活性が消失することがなければ、アビジン結合ビーズにより同因子を効果的に回収することも可能となる。そこで、EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin (Thermo Fisher社)を用いてBA-SUPをビオチン化し、BA-SUPの骨格筋細胞ブドウ糖取込み促進活性は維持されるかどうかを調べた。結果、ヒト骨格筋芽細胞(Lonza社)を分化誘導して作製した骨格筋細胞を用いたアッセイにおいてBA-SUPのブドウ糖取込み促進活性は維持されることが確認された。現在、より高いレベルで活性を維持するためのビオチン化条件について検討を進めている。

今後の研究の推進方策

従来の研究計画通り、少量BA-SUPで検討した条件を参考に、BA-SUPの大量調製から種々のカラムを用いたHPLCにより目的因子を濃縮し、質量分析機での構造解析に十分な質と量の活性画分を得たうえで、研究期間中(令和4年度末)に全アミノ酸配列(含、修飾)を決定する。但し、構造解析に十分量のBA-SUPの調製に時間を要することも想定されるため、ビオチン化BA-SUPを用いた活性因子の純化方法の確立に向けた条件検討も同時並行で進めていく。高いレベルで活性が維持する条件が決定されれば、中等度量BA-SUPからでも目的因子の構造同定に十分な純化サンプルを得ることも可能となることが期待されるからである。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ対応のために研究進捗が当初計画より遅れたため、本研究の初年度の研究費執行の翌年度に繰り越すこととなった。このように研究進捗に遅れは生じたものの、研究計画は当初の方針に沿って進められており、繰り越した研究費は、ヒト胚性幹細胞からのBA分化誘導に用いる培養液やプラスチック培養製品の購入費、論文投稿費に充てる計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Cold-induced Conversion of Connective Tissue Skeleton in Brown Adipose Tissues.2021

    • 著者名/発表者名
      Yudasaka M, Okamatsu-Ogura Y, Tanaka T, Saeki K, Kataura H.
    • 雑誌名

      Acta Histochem Cytochem.

      巻: 54 ページ: 131-141

    • DOI

      10.1267/ahc.21-00030

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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