研究課題/領域番号 |
21K08573
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
石井 清朗 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 ジェロサイエンス研究センター, 研究員 (80419150)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / 2型糖尿病 / 阻害薬スクリーニング |
研究実績の概要 |
2型糖尿病患者における骨粗鬆症及び骨折のリスクが認識されてきたが、詳しい原因や機序については不明な点が多かった。申請者は原因の一つとしてセレノプロテインPがIGF-1シグナルに必要な活性化酸素(ROS)を消去することにより骨芽細胞分化を抑制し、2型糖尿病による骨粗鬆症や骨折を引き起こすことを発見した。そこで、セレノプロテインP阻害薬スクリーニングを行い、骨粗鬆症を改善する(骨量の減少を伴わない)2型糖尿病治療薬の開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セレノプロテインP阻害薬スクリーニングにより、骨粗鬆症を改善する2型糖尿病治療薬の開発を行う。肝臓Cell lineを用いて、既存薬ライブラリー約1,500種をスクリーニングし、その結果、セレノプロテインP遺伝子の転写活性を抑制する既存薬約50種類を同定した。さらにこの中から構造展開の実現可能性が高い化合物について、類似既存薬及び周辺化合物を用いて2次スクリーニングを行った。既存薬ライブラリーを用いた一次スクリーニンの中から細胞毒性が低く、構造展開の実現可能性が高い2化合物(抗マラリア薬、血圧抑制薬)を選び、類似既存薬及び周辺化合物ライブラリーを用いて2次スクリーニング(それぞれ70化合物と160化合物)を行った。また、スクリーニングの際にヒト、マウス、ラット細胞それぞれを用い、種間での作用の違い、およびセレノプロテインP遺伝子発現だけでなく、培養液に分泌されるセレノプロテインPタンパクの量も測定し、遺伝子発現との相関を検討した。また、一次スクリーニングの中でセレノプロテインP遺伝子発現を抑制し、細胞毒性も低かったが、構造展開が難しいため2次スクリーニングを行わなかった既存薬、免疫抑制薬、シクロスポリンAについては、マウス初代培養肝臓細胞、マウス及びヒト肝臓細胞cell lineを用いてSelenop発現抑制機序を解明し、論文化した。
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今後の研究の推進方策 |
2次スクリーニングで効果のあった類似既存薬及び周辺化合物を用いて、マウス初代培養肝臓細胞とiPS誘導ヒト肝臓細胞に添加し、セレノプロテインP遺伝子発現および、分泌タンパク質の抑制効果を確認する。マウス個体への投与は筋肉および肝臓でのインスリン抵抗性及び骨量を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属施設が変わったこと、新型コロナウイルスの影響、民間の助成金も使用してるという理由で今科研費の消費が少なくなっているが、研究は進んでいる。今後は2次スクリーニングで効果のあった類似既存薬及び周辺化合物を用いて、細胞及びマウス個体で検討する。
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